1日のNY市場はリスク回避的な雰囲気が強まり、円相場は円高、ドル相場はドル買いが優勢となった。この日発表された米雇用指標や製造業の景況感指標が弱い内容となったことで、市場では米景気減速懸念が更に強まっている。NY株式市場でダウ平均の下げ幅が200ドルを超えるなど大幅安となり、また、原油も同様の動きを見せる中、為替市場もリスク回避的な動きが強まった。

ユーロ円は117円台から115円台に下落し、ドル円もここ数日のサポート水準である80.70近辺まで値を落とす動き。ギリシャ問題で気になるユーロドルも序盤は逆行買いとなったが、後半になって高値から100ポイント超下落し、1.43台前半まで下落。ムーディーズがギリシャ国債をB1からCaa1に3段階格下げしたこともユーロを圧迫した。

◆ギリシャ追加支援に繰り延べ検討も
序盤はスイスと伴に逆行高となっていたユーロだが、利上げ期待やギリシャ追加支援への期待感が先行した格好。ギリシャ支援に関しては、国債の繰り延べ計画が検討課題にのぼっている模様。これは償還を迎えるギリシャ国債の債権者に対して、新発債に借り換えてもらうよう促すことによって、返済期限を繰り延べるというもの。いわゆるロールオーバー。2009年に中東欧支援に使用したウィーン・イニシアチブがモデルにある。これにより同国債を保有する銀行のエクスポージャー維持を狙い、ギリシャ政府が財政緊縮策で成果を上げ、通常の状態に戻るまでに時間を稼ぐ。あくまで償還延長ではなく、ヘアカット(債務減免)を強いるわけでもないことから、デフォルトではないとの認識のようだ。ECBからの支持もあるようで、有力な支援策とも考えられている。

◆NFP予想の下方修正相次ぐ
本日のADP雇用統計は雇用増加数が市場予想の17.5万人に対して、結果は3.8万人と予想から大きく下方乖離した結果となった。この結果を受けて、各金融機関は週末の米雇用統計の非農業部門雇用者数(NFP)の予想を下方修正している。ゴールドマンサックスは従来の15万人増から10万人増へ、クレディスイスは18.5万人増から12.0万人増へ、そしてシティグループも17.0万人増から10.0万人増へそれぞれ下方修正の可能性を示した。現時点でのコンセンサスは17.0万人増となっているが、金曜日の発表前に予想は下方修正されそうな気配となっている。

(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)