ビスポークバッグ工房〝オルタス〟の小松直幸さん。2000年から日本一と言われるバッグ職人、藤井幸弘さんに師事。2008年に独立し、2012年には銀座一丁目に工房兼ショップ〝オルタス〟をオープン。日本のみならず海外でもトランクショーを開催し、人気を博す
フランス製のカーフ(仔牛革)でつくった、クラシックなデザインのカメラ用バッグ。芯地を入れたカッチリとしたつくりで、カメラやレンズを保護してくれる
クッション材のかわりに、取り外し可能なヘアカーフ製のインナーバッグをつくってもらった! が、今のところ抜け毛が多くあまり使えていない……
店内に展示されているサンプルのバッグ。ソフトなシュリンクレザーを使ったトートバッグから、いわゆる「箱物」と呼ばれ特殊な技術を必要とするトランクまで、幅広いバッグを注文できる。名刺ケースなどの小物類も注文可能だ
工房スペースは一般家庭のキッチン程度で、拍子抜けするほどコンパクト。手縫いバッグづくりは、靴づくりと較べるとあまり多くの道具を必要としないとのこと
「ミシンよりも趣深く、そしてキレイに」と心がけながら、名刺ケースを縫い上げる小松さん。ちなみにパーツをはさんで固定する木製の道具は、フランスで購入したアンティークものだという
縫製の丁寧さはもちろんのこと、見事なコバ(断面)の仕上げに注目を。既製品はアクリル系の樹脂などで光沢を出すことも多いが、布海苔や蜜蝋などの天然素材を使って磨き上げた本来のコバ仕上げには、自然な美しさがある
シルバーや真鍮といった金属パーツまでオリジナルでつくれる鞄職人は、ほぼ皆無。師匠ゆずりの技術である
こちらは筆者が選んだものと同じ、フランスの「アノネイ」社のボックスカーフでつくったブリーフケース。パーツはすべてオリジナルのシルバー製で、その風格は圧倒的!
こちらが仮縫い用に床革でつくったダレスバッグ。当たり前だが仮縫いが終わった後には不要になってしまう
右が筆者の仮縫い用につくられたバッグで、左が完成品。ご覧のとおりかなり精度が高いので、安心して完成品を待つことができる
型紙を引く小松さん。決まり事にとらわれず、その場その場で考えながら顧客にとっての「最善」に近づけていくものづくりは、彼が「親方」と呼ぶ藤井幸弘さんの姿勢がベースになっていると語る