日本に持ち込まれたゴルフ「ブルーeモーション」。すでにドイツ本国での実用試験、世界各国・地域でも走らせている現行ゴルフ改造のBEV。今回、日本で報道関係への披露と試乗に加えて、一般から希望を募って各地で試乗体験を実施した。搭載するリチウムイオン電池の容量は日産リーフ(24kWh)よりも少し多い26.5kWh。元のゴルフでは燃料タンクが収まる後席下から荷室にかけて収められている。(撮影:筆者)
日本のボッシュ・グループ年次記者会見に続く講演会の「E-モビリティ」に関する動向紹介の中で示された図の1つ。乗用車と、総重量6トン以下の商用車(積載重量2~3トン程度までの小型商用車)の2011~2020年の市場動向予測。棒グラフだけを見れば、何らかの電動駆動を組み込む車両の販売量は増加傾向、となるが、その上に記された市場全体の数量を見落とさないように。純EVは2020年予測でも市場全体の2%。これでもかなり楽観的な予測。つまり「クルマはみんな電気自動車になる」という安直な未来像は成り立たない、ということ。(図版提供:ボッシュ)
ここ数年、VWはBEVの実用化を想定したコンセプトカー(実走車両)をいくつも開発してきた。その1つのグループが都市交通用のタクシー。欧州主要都市をイメージして展開したもののうち、これはベルリン・タクシー。ドイツのメルケル首相が試乗したシーン。(写真提供:Volkswagen AG)
「コンボ」と名付けられた欧州のグループが提案している充電システム用のコネクター。200~240ボルト電流と400ボルト電流に対応する2系統の接合部を一体にしている。これで家庭用と業務用それぞれの電源に対応しようというのだ。今回、日本に渡ってきたゴルフ・ブルーeモーションはまだこの充電システムには対応していず、200ボルト級の電源に対応する充電器から現時点で汎用型になりつつある7接点コネクターで充電していた。(写真提供:Volkswagen AG)
日本の都市圏や高速道路PAの一部への設置が進められている急速充電器による電力注入の状況。人間、クルマと比較してもケーブルの太さ、コネクターを含めてごつい造りであることが見て取れると思う。この時は交通関係の専門家との「充電体験」だったが、現時点の機器設備とデザインに関する評価は「実用には不適切」だった。電池残量が少ない状態からだと充電開始直後には400ボルト・300アンペア以上の大電流を一気に流し込む。これを繰り返すと、電池にとっては相当に厳しい。日本メーカーの現行EVは、このCHAdeMO協議会仕様、200V単相対応(そこに100V電源をつなぐためのアダプターも)という複数の充電コネクターを車体各所に別々に備えている。(撮影:筆者)