中国で検索サイトの雄、グーグルの中国法人が、音楽ダウンロードサービスを開始した。中国で音楽ダウンロードサービスといえば、人気の検索サイト「百度(Baidu)」のサービスが有名だ。
中国の検索市場で6割以上のシェア誇る百度(Baidu)
中国のリサーチ会社の易観国際(Analysys International)のリポートによれば、2008年の中国における検索広告市場規模は51億5000万元(約745億円)で、トップシェアは百度の62.2%。
それに続き第2位のグーグル中国のシェア27.8%を合算すると2社で実に9割を占める。3位でシェア5.8%のヤフー中国以下を大きく引き離し、百度とグーグルの一騎打ちとなっている。
百度が登場した当初、検索サイトとしては世界の巨人グーグルに到底及ぶべくもない状態だったが、同社がネット上の音楽ファイルを探し出し結果を表示する音楽検索サービスを始めてから、中国市場ではその差がぐんぐん縮まり、あっという間にグーグルを抜いて百度を一躍有名にさせた。
一方で検索されるファイルの多くが海賊版の音楽であることから、著名レーベル企業が百度を相手取って何度となく裁判を起こしてきた。百度は米ナスダックに上場、中国IT企業の存在を見せつけた一方で、海賊版音楽を提供している企業という悪印象がつきまとった。
このように問題が指摘されている音楽ダウンロードサービスに、あえてグーグル中国が参入に踏み切った理由は何か。それは大きく2つある。
1つ目は中国での合法音楽ダウンロードサービスの幕開けという意味合いだ。
音楽ダウンロードは違法という悪いイメージを払拭すべく、レーベル企業と提携した合法的な音楽ダウンロードを広めようという狙いである。
映画やドラマ、音楽などを制作している企業は、ここ1~2年、海賊版配信業者に対して強い姿勢で臨むようになっている。裁判で著作権侵害を訴えるケースが増えているのだ。結果も勝訴して損害賠償を取れるケースが多数確認できるようになった。