進むウォン安に対する不安
李在明政権のCPTPP加入のもう一つの狙いは「日韓通貨スワップ」の延長もある。
韓国は李大統領が政権を握って以来、為替レートに赤信号が灯ったままだ。昨年末、史上初めて1ドル1490ウォンに迫った対ドル為替レートは、国民年金(基金運用委員会)が保有しているドルを売り払うなどの非常措置で一時的に1430ウォン台まで持ち直した。しかし、今年に入って再び1470ウォンを超え、1500ウォン台に向かって走っている。韓国政府としてはなす術がない状態だ。
為替レートの異常な暴騰の背景としては李在明政権の財政拡大政策、米国より低い韓国の基準金利、毎年200億ドル以上を米国に現金投資しなければならない状況で韓国の大企業が不確実性に備えてドルを積み上げていることなどがある。
「弱り目に祟(たた)り目」で、尹錫悦政権時代に締結した日本との100億ドル規模の日韓通貨スワップも今年6月に終了する予定だ。100億ドルという規模は決して大きくないが、心理的な不安が加重される恐れが大きいだけに、韓国の外国為替市場が大きく動揺しかねない。
昨年の対米関税交渉当時、すでに米国に通貨スワップを要求して拒否された李在明政権としては、「準基軸通貨国」である日本との通貨スワップの「延長」ないしは「拡大」を切実に望んでいる。そのためには断食までして反対していた福島県産水産物を輸入してでもCPTPPに加入し、日本との「協力空間」を広げていきたいという意図があるのだ。
中国で「日本の軍国主義に共同対応しよう」という習近平主席の発言にうなずいた後、日本では高市首相と手を組んで和気あいあいとした場面を演出した李在明大統領の頭の中には、6月の総選挙を控えて、「反日」ではなく「用日」で支持率を高めるという計算が働いている。


