韓国を取り巻く貿易環境が激変
まず、CPTPP加盟国のメキシコ政府の高関税政策の影響だ。
CPTPP発足当時、韓国は「反日」を前面に掲げる文在寅政権が政権を握っていた。そして、CPTPP加盟国のうちメキシコと日本だけが韓国と二国間FTAを結んでいない国家だった。そこで、文政権は、農水産物市場の開放がもたらす不利益を甘受してまで多国間の自由貿易協定に加入する必要がないと判断した。
しかし、トランプ第2期政権が始まり、全世界が関税戦争に突入したことで、状況がひっくり返ってしまった。特に、米国から中国製品の迂回輸出国として名指しされているメキシコが今年から中国などFTA未締結国に対して最高50%の関税を賦課すると明らかにし、韓国経済は尻に火がついてしまった。メキシコは韓国にとって10位の輸出市場なのだ。
もう一つ、輸出品目の多角化や市場の多角化を求める韓国財界の強い要望がある。現在、韓国の輸出市場は米国と中国に大きく依存しているが、米国や中国市場へのハードルがますます高くなり、韓国経済界の危機感が高まっている。
中国に対してはすでに貿易赤字を記録しているし、米国については関税障壁は越えても越えても再び立ちはだかってくる。昨年、韓国の総輸出額は7000億ドルを超えて史上最高の実績とも言われているが、実際のところ半導体を除けば、むしろ減少したとの分析もある。そこで、品目の多角化、市場の多角化のためにも、CPTPPのような多国間貿易協定に加入しなければならないという財界の声がどんどん強くなっているのだ。
特に、米国と中国によるパワーゲームが展開される中、供給網などに関しては日本との経済協力がどうしても欲しいところだが、日本とは歴史懸案などの政治的・国民情緒的な理由から、二国間FTA締結には時間がかかる。そこで、「まずはCPTPP加入を急ぐべきだ」というのが韓国財界の立場だ。