iPhone17の成功がアップルの問題を隠してしまった可能性が指摘されている(写真は2025年9月20日、ロシアで発売されたときのもの。写真:ロイター/アフロ)
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 米アップルが、自社の命運を左右する重要局面に立たされている。

 2025年は「iPhone 17」シリーズのヒットにより、14年ぶりにスマートフォン世界出荷台数首位を奪還するという記録的な年となった。

 その一方で、生成AIへの対応については、競合他社に先を譲る「先送り」の戦略を貫いた。

 2026年を迎えた現在、市場の関心は2点に集まっている。それは、昨春に延期を発表した「次世代Siri(シリ)」の真価と、同社のAI戦略が結実するのかという点だ。

 1月12日には、次世代基盤モデルに米グーグルのAI「Gemini(ジェミニ)」を採用する数年間の提携を正式発表し、反転攻勢への準備を整えた。

「製品主導」への回帰と経営陣刷新

 アップルは2025年12月、大規模な組織再編を行った。

 AI戦略の要であったジョン・ジャナンドレア氏が退任し、グーグルや米マイクロソフト出身のアマル・スブラマニア氏を起用した(アップルの発表資料)。

 この動きは、ティム・クックCEO(最高経営責任者)が長年築いた「オペレーション(業務効率)重視」の体制から、再び「製品・イノベーション主導」へと舵を切る前兆と受け止められている。

 背景には、AI開発での明確な出遅れがある。

 米オープンAIの「Chat(チャット)GPT」やグーグルのGeminiは、既に日常ツールとして浸透した。

 対照的に、アップルが2024年に鳴り物入りで発表した「Apple Intelligence(アップルインテリジェンス)」の評価は芳しくない。

 通知要約機能の不具合や、目玉機能の相次ぐ延期により、消費者の期待感は一時期に比べ停滞している。

 こうした中でのスブラマニア氏の起用は、投資家に対し「AIリーダーシップの刷新」を印象付ける狙いがある。同氏はグーグルでGeminiの開発を主導した経歴を持つ。

 今後は、ソフトウエア部門を統括するクレイグ・フェデリギ上級副社長の下、停滞するAI開発の加速を担うことになる。