米国が半導体で「脱台湾」、台湾有事の関心はなし?
——国家として強化する分野として半導体もあります。
先端半導体ではラピダスが国内生産に挑むなどしており、台湾だけに依存するリスクを各国が意識する中で、「台湾プラスワンの選択肢として日本を選んでください」という現実的な立ち位置を取ることは十分に可能です。微細化の物理限界が近づくにつれて、半導体の高付加価値化には「後工程」の重要性が高まっており、ここは日本の競争力がある分野です。
——半導体を巡っては、米国も半導体分野の強化に動いていますが、日本が半導体で頑張ることについてはどう見ているのでしょうか。
羽生田:米国で作るべきものを日本で作ることは許さないというスタンスですが、日本が半導体で強くなること自体には米国が反対するものではないでしょう。
アメリカは今、台湾への依存を深刻なリスクとして捉えています。だからこそ、台湾に頼っている半導体生産を、できる限りアメリカ国内で完結できるようにしようとしています。
一方で、もしその目標が実現したとき何が起きるか。台湾有事、つまり中国が台湾を本格的に取りに来る局面がいつ来るのかは分かりませんが、その時、アメリカの台湾依存が薄まっていれば台湾を守る理由も弱まっているでしょう。
日本は台湾と地理的に近く、経済的にも安全保障的にも影響を受けやすい立場にあります。産業政策と安全保障は切り離せません。半導体の議論は、単なる産業競争ではなく、日本の安全保障に直結する問題として見ておく必要があります。
