マンションの間取りはシンプルな方がいい(写真:mapo/イメージマート)
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 マンション価格の高騰や金利上昇が報じられるが、東京の不動産投資市場は依然として活況を呈している。投機的な不動産投資ではなく、年収500万円台からでも始められる中古マンション投資にこだわる天田浩平氏が優良物件を見極めるルールを明かした。

※本書は『東京〈中古〉マンション投資の教科書』(ビジネス社)の一部を抜粋・編集しています。

【前編】年収500万円から始められる中古マンション投資、買ってはならないダメ物件に共通する二つのポイント

 どんなに立派な建物でも、適切なメンテナンスを怠れば、その価値は年々失われていきます。中古マンション投資において、建物の「管理状態」は、その物件の将来性を左右する極めて重要な要素です。

 その管理状態を客観的に知るための、いわばマンションの「履歴書」とも言える重要な書類が存在します。それが「重要事項調査報告書」です。

 この書類は、マンションの管理会社が発行するもので、そこには、そのマンションの管理・運営に関するあらゆる情報が詳細に記載されています。不動産会社の営業マンに依頼すれば、購入前に必ず見せてもらうことができます。もしこの書類の開示を渋るような会社であれば、その時点で取引を中止すべきです。

 では、この「履歴書」のどこに注目すればよいのでしょうか。チェックすべきポイントは主に5つです。

1.修繕積立金の総額
 建物全体で、現在いくらの修繕積立金が貯まっているかを確認します。築年数や総戸数に対して、この金額が極端に少ない場合は要注意です。将来の大規模修繕の際に資金が不足し、多額の一時金が徴収されるリスクがあります。

2.管理費・修繕積立金の滞納状況
 他のオーナーの中に、管理費や修繕積立金を滞納している人がいないかを確認します。滞納者が多いマンションは管理組合の財政が健全でない可能性があり、適切な管理が行われていないサインかもしれません。

3.過去の修繕工事履歴
 これまで、いつ、どのような大規模修繕が行われてきたかが記載されています。計画的に修繕が実施されているか、前回の工事から何年経過しているかなどを確認し、建物の維持管理に対する管理組合の意識の高さを判断します。

4.今後の修繕計画
 将来、どのような修繕が、いつ頃、どのくらいの予算で計画されているかを確認します。直近で大規模修繕が予定されている場合は、それに伴う積立金の値上げや一時金の徴収がないかを、特に注意深くチェックする必要があります。

5.管理費・積立金の改定予定
 近い将来に、管理費や修繕積立金の値上げが計画されていないかを確認します。購入後にランニングコストが想定外に上昇すれば、利回りの悪化に直結します。

 これらの情報を総合的に判断することで、そのマンションがこれまでどのように維持され、これからどのように維持していく予定なのか、未来を予測できます。

 築年数が古くても、管理が行き届き、潤沢な修繕積立金があるマンションは、資産価値が下がりにくい「優良物件」です。逆に、どんなに新しくても、管理がずさんなマンションは、将来大きなリスクを抱える「危険物件」となり得ます。

 マンションの「履歴書」を読み解く力が、将来のリスクから資産を守るための強力な武器となるのです。