次はパリの南西、およそ80kmにある都市、シャルトルに向かいます。

 シャルトル大聖堂はとても大きくて威厳があり、間近で見ると圧倒されてしまいます。近すぎない通りを大聖堂を見ながら歩いていると、猫が行く手を阻むように現れ、「この先は行き止まりですよ」と大きくシッポをふって教えてくれました。

 行き止まりでは仕方ないので引き返すと、別の猫が「もっと早く教えてあげればよかったね」と、申し訳なさそうに話しかけてくれました。

 シャルトルで出会った猫は、愛嬌があり、賢そうな猫ばかりでした。それと、なぜかみんなヒゲが長くて立派でした。

 翌朝、散策をしていると、「おばちゃんのことを知っているよ」と、猫が駆け寄ってきました。「え?」そういえば、前の日に車の上に乗っていた猫です。

「今日はぼくと遊ぶ?」と、親しみのある表情で誘ってくれました。「おばちゃんは、街歩きをして写真を撮りたいので」と丁重にお断りすると、「そうなんだ……」と、真上に立てていたシッポが下がってしまいました。