気軽に相談できる「介護カフェ」という試み

 筆者は、民間介護事業者が運営している、地域に開かれた「介護カフェ」を訪ねた(2023年6月5日)。新宿区にある、「Sunnydays cafe」という名で、近隣住民が昼食や喫茶を楽しみながら介護相談ができる店だ。同一建物に居宅介護支援事業所及び訪問介護事業所が併設されている。

 カフェ開店中の適宜、決まった時間に、ケアマネジャー及び管理栄養士が常駐している。そして、客の介護相談等を無料で受けているのである。もちろん、飲食代は支払うことにはなるが。

 飲食だけを利用する客が大半だが、必ず1日1人以上は介護相談を受けたいという客が来るという。例えば、「今、親の介護に携わっているが、ヘルパーやケアマネジャー対応について悩んでいる」「何か介護に関する新たな情報を教えてほしい」「将来、自分の介護が不安なので」といった、気軽に相談ができる場が「Sunnydays cafe」だという。

 中には介護職員など専門職が訪れることもあり、日々の業務の悩みなどの相談を受けるという。そして、簡単なアドバイスをし、愚痴を聞くことで元気になってもらって送り出す。

介護格差』(結城康博著、岩波新書)
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 この介護施設(株式会社モテギ)は「企業貢献」も兼ねてカフェを運営し、地域に親しまれる介護事業所を目指しているようだ。取材を受けてくれたケアマネジャーと管理栄養士は、役所や地域包括支援センターといった公の場には、もう一歩踏み出せない高齢者及び家族が少なくないという。そのため、このようなカフェを運営しながら、介護情報を気軽に市民に提供できればとのことだった。