先日、様々な取材の場でお世話になっている、ある経済ジャーナリストと再会しました。企業の本質や、根本的な体質を追究することを得意としており、企業広報担当者との接点がとても多いジャーナリストです。

 時折、お目にかかる機会に恵まれ、話をするたびに始まるのが、企業広報についてのああでもない、こうでもないという議論です。

 「お久しぶり」と挨拶した直後に花咲いた今回の話は、なぜマスコミにバッシングされる企業がある反面、同じ問題を抱えていても叩かれない企業があるのかということでした。

叩かれる会社と叩かれない会社

 「福永さん、KYですよ、KY。空気を読まないし、空気が読めない。いくら企業に成功してほしいと思う気持ちが取材側にあっても、その企業がKYだとみなイライラしてくるんじゃないですか」。彼はこのように表現するのです。

 世の中の「空気」を敏感に汲み取る会社とそうでない会社では、マスコミの反応はずいぶん違うということなのでしょう。

 企業が世の中の期待と目線を感じ取っていない「ふし」を露呈すると、まるで闘牛が赤いマントを目の前に振られたかのように、マスコミは鼻息を荒くするのかもしれません。

 では、どのような時に企業はこの赤いマントを無意識に掲げてしまっているのでしょう。

 様々なシナリオが浮かびますが、ここでは、日頃、広報の仕事に就いているからこそ目につく2つの場面を挙げてみます。

 1つは、最近、様々な企業が公表した業績発表の説明に関連します。

 残念ながら多くの企業がこの時期に業績が後退する結果を発表しました。各企業の経営者が説明した業績低迷の原因は様々でしたが、昨年末から続く深刻な景気悪化を理由にした説明が多く見受けられました。

業績発表に見え隠れする赤いマント

 業績発表の内容を各企業のホームページなどでのぞいてみると、しっくりこない決算説明文も見受けられます。

 確かに景気の悪化は業績をさらに悪くし、また改善策を無力化する大きな要因ではあります。しかし、組織の本質的な改革など、本当に改善がなされていたのかどうかが明確に示されていない説明には、説得力が欠けています。