(写真:ZUMA Press/アフロ)

 米アップルと米アマゾン・ドット・コムがこのほど発表した2024年4~6月期決算は、いずれも増収増益だった。だが両社の業績結果に対する市場の受け止め方は異なった。アップルには、主力スマートフォン「iPhone」の回復が期待されている。一方、アマゾンは売上高が市場予想に届かず、併せて発表した24年7~9月期の見通しもさえず、失望感が広がった。

アップル、2四半期ぶりの増収増益

 アップルが2024年8月1日に発表した2024会計年度第3四半期(24年4~6月期)決算は、売上高が前年同期比5%増の857億7700万ドル(約12兆8500億円)、純利益が8%増の214億4800万ドル(約3兆2100億円)で、2四半期ぶりに増収増益を確保した。主力iPhoneの売上高は前四半期に大きく落ちこんでいたが、4~6月期は減少幅が縮小した。

 依然として、中国市場はマイナス成長が続いている。しかし、今秋に提供が始まるとみられるAI(人工知能)機能が世界全体で端末の買い替えを促すとの期待が高まっている。英ロイター通信によると、同日の米株式市場の時間外取引でアップル株は約1%上昇し、他のテクノロジー企業とは対照的な評価を得た。

iPhoneの落ち込み1%に、サービス過去最高更新

 アップルの24年4~6月期の売上高を事業部門別に見ると、全体の約5割を占めるiPhoneが、前年同期比1%減の392億9600万ドル(約7兆(約5兆8800億円)だった。iPhoneの売上高は前四半期に10%減少していたが、この4~6月期は小幅な減少にとどまった。

 パソコン「Mac」は2.5%増の70億900万ドル(約1兆500億円)で、3四半期連続で増収を確保した。タブレット端末「iPad」は24%増の71億6200万ドル(約1兆700億円)。iPadはこれまで2桁減収が続いていたが、4~6月期は2桁増と大きく伸びた。AI機能を端末上で高速実行できる「M4」チップを搭載した新製品の効果が表れたとみられる。

 腕時計端末「Apple Watch」やスマートスピーカー「HomePod」などの「ウエアラブル、ホームおよびアクセサリー」は2%減の80億9700万ドル(約1兆2100億円)だった。

 一方、アプリ・音楽・動画配信などのサービス事業の売上高は前年同期比14%増の242億1300万ドル(242億1300万ドル)で、引き続き過去最高を更新した。同部門の200億ドル超えは7四半期連続で、アップルの全売上高に占める比率は28%に上昇した。

アップル、中華圏7%減収

 アップルの売上高を地域別に見ると、米州が前年同期比6%増の376億7800万ドル(約5兆6400億円)、欧州が8%増の218億8400万ドル(約3兆2800億円)だった。

 日本は6%増の63億9000万ドル(約9600億円)、その他アジア太平洋地域は13%増の67億2300万ドル(約1兆100億円)である。

 これに対し、中国市場では大きく落ち込んだ。香港と台湾を含む中華圏は7%減の147億2800万ドル(約2兆2100億円)。アップルにとって3番目に大きな市場である中国は、依然として業績の重荷となっている。中華圏の売上高は4四半期連続で減少した。前四半期は前年同期比8%減、その前は13%減と推移していた。24年4~6月期は改善が見られたものの、市場予想に届かなかった。ただ、アップルのルカ・マエストリCFO(最高財務責任者)は、「為替の影響を除けば、中国での売上高は3%未満の減少にとどまった」と述べている。「中国経済の低迷を考慮すれば、アップルの業績には満足できる」と付け加えた。

Apple IntelligenceでiPhoneの買い替え促進か

 ロイター通信によれば、アナリストらは、24年9月に発売されるとみられる「iPhone 16」によって、iPhoneの買い替えが促されると予測している。アップルは24年6月に開いた開発者会議で生成AIシステム「Apple Intelligence(アップルインテリジェンス)」を発表した。

 Apple Intelligenceは同社の各種端末に対応するが、iPhoneでは現時点でA17 PROプロセッサーを搭載する機種のみが対象となる。これは「iPhone 15 Pro」と「iPhone 15 Pro Max」の2機種のみを意味する。つまり、「iPhone 15」やそれ以前の機種、「第3世代iPhone SE」では利用できない。24年秋の発売が見込まれるiPhone 16シリーズでは一部機種が対応するとみられる。このことからアナリストは、「iPhone 12」シリーズ登場以来最大規模の買い替えサイクルが訪れると予想している。