選挙特需もニュース離れは加速中

 このリポートでは、世界的にニュース離れが進んでいる実態も明らかになった。ニュースを「憂うつ/絶え間なく続く/退屈だ」と感じる人が増えている。調査対象となった世界の人々のうち、39%が「時々または頻繁にニュースを選択的に避けている」と回答した。これは2017年の29%から増加している。リポートは、ウクライナや中東での戦争が人々のニュース離れに拍車をかけている可能性があると指摘する。

 米国などの一部の国では選挙がニュースへの関心を高めている。しかし世界的に見るとニュース離れの傾向は続いている。世界全体で、ニュースに「とても/極めて、関心がある」と答えた人は 46%だった。これは17年の 63%から減少している。英国では15年以降、ニュースへの関心がほぼ半減した。

 「ここ数年は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)があり、戦争のニュースも続いている。人々がニュースから離れるのは、精神衛生上の窮状を回避するためであり、ある程度自然な反応だ」(ニューマン氏)という。つまり、心の安定を求める行為であり、これを誰も否定できないということのようだ。

TikTok、ニュース媒体で台頭 Twitter上回る

 リポートによると、テレビや新聞などの伝統的な媒体の利用者数は過去10年間で急減している。特に若い世代はオンラインメディアやソーシャルメディアでニュースに接することを好む傾向にある。

 英国では、ニュースを入手する手段としてオンラインが73%を占め、テレビは50%、プリント(印刷物)はわずか14%だった。日本は、オンラインが58%、テレビは53%、プリントが21%となった。

 ソーシャルメディアのニュースプラットフォームとしての重要性が増しているようだ。依然として「Facebook」が重視されているが、長期的に見ると減少傾向にある。

 「YouTube」や「WhatsApp」も依然として多くの人にとって重要なニュースソースだが、最近は中国発の「TikTok」が台頭している。TikTokをニュースメディアとして利用している人は13%で、今回初めてX(旧Twitter、10%)を上回った。18~24歳の若年層ではTikTokの利用率はさらに高く、23%に達した。