警察犬といえばドーベルマン(写真:Hakase/イメージマート)

世の中には体が不自由な人を助ける犬、私たちを犯罪から守ってくれる犬、災害現場で活躍する犬など、実にたくさんの「働く犬」がいる。そこにいるだけで癒やしを与えてくれる犬たちだが、その能力は実に豊か。人間以上の働きぶりに驚かされることもしばしばである。そこで今回は、私たちの生活を助けてくれる「働く犬」を紹介していこう。

(杉原健治:フリーライター)

血液バンクのない犬の命綱「供血犬」

 2023年11月、長年「供血犬」としてたくさんの命を救ったシロが天国に旅立ったというニュースが報じられ、ネット上では多くの人がシロの冥福をお祈りした*1

*1午後3時35分、供血犬シロの心臓は鼓動を止めた 動物病院の地下室から京都の美容師夫妻へ みんなの愛を一身に懸命に生きた 「たくさんの動物が救われた」(まいどなニュース)

「供血犬」とは、犬に輸血が必要になった時に血を提供してくれる犬のこと。人間とは違い血液を確保する血液バンクなどの仕組みが存在しない上、血液型が13種類以上もあるという犬たち。

 しかもその血液は長期保存もできないという。そのため動物病院では助けられる命を救うため、供血犬を飼育したり、各家庭で飼われる一般の犬たちにドナー登録を促したりして、輸血元となる供血犬を確保している。

身体障がい者の生活を守る「補助犬」

「働く犬」と聞いて、まず思い描くのものといえば「盲導犬」ではないだろうか。目の不自由な人が安全に歩けるよう、障害物を避けたり危険な場所の前で止まったりしてくれるが、実はこの盲導犬、「補助犬(身体障害者補助犬)」の中の1種類で他にも種類がある。

 目が不自由な人を助ける「盲導犬」に対し、耳が不自由な人を助けるのが「聴導犬」だ。玄関チャイムや着信音、赤ちゃんの鳴き声といった必要な生活音を聞き取り、聴覚障がい者の耳となってサポートしてくれる。

盲導犬(写真:PantherMedia/イメージマート)

 そして手足に障がいのある肢体不自由者のサポートをするのが「介助犬」。指示したものを持ってきたり、ドアの開閉、脱衣補助や車いすの牽引といった日常のサポートをしたり、不測の事態には助けまで呼んできてくれたりする頼もしい存在だ。

 彼ら「補助犬」の働きにより、障がいのある人々の生活がより便利で安全なものになっているのは言うまでもない。