(写真:AP/アフロ)

 米グーグルが数百人規模の人員を削減することが分かった。音声アシスタントの「Google Assistant」やハードウエア、ソフトウエアツールなどを開発する技術者などが対象になる。同社の広報担当者は、「将来の大きなチャンスに向けて、責任を持って会社の最優先事項に投資している」と説明した。

リストラ、数百人規模 AI注力で雇用削減

 米CNBCによると、今回の整理解雇(リストラ)は、新型コロナウイルス下のネットサービス需要増で、急増した従業員を調整する取り組みの一環だ。同社は2023年1月、持ち株会社である米アルファベットのグループ全体で約1万2000人を削減すると発表した。この数は当時のアルファベット従業員数の約6%で、同社として過去最大の人員削減策だった。同年9月には採用部門やニュース配信部門「Google News」、自動運転部門「Waymo(ウェイモ)」でも小規模な人員削減を行った。

 グーグルは、生成AI(人工知能)分野における開発を優先する方針を取っており、その研究開発体制を見直してきた。23年は、アルファベット傘下の英DeepMind(ディープマインド)と、グーグルの研究部門「Google Research(グーグル・リサーチ)」のBrain(ブレイン)と呼ぶチームを統合した。

 米マイクロソフトが資本・業務提携する米オープンAIが対話AI「ChatGPT(チャットGPT)」を公開して以降、AIを巡る競争が激化しており、グーグルは2部門を統合し、これらに対抗した。23年には対話AI「Bard(バード)」やその技術基盤である大規模言語モデル(LLM)「Gemini(ジェミニ)」などを開発。これらにより、マイクロソフトやオープンAIなどに追いつく狙いだ。

 一方、アルファベットの労働組合、アルファベット・ワーカーズ・ユニオンは今回の人員削減に失望を表明し、X(旧ツイッター)への投稿で、「グーグルはまた不必要なレイオフ(一時解雇)を始めた。我々は、雇用が守られるまで闘い続ける」と述べた。