(写真:アフロ)

(朝比奈 一郎:青山社中筆頭代表・CEO)

 日本企業の稼ぐ力が向上しています。日経新聞によれば、8月4日時点で、上場企業の2023年4~6月期の純利益は、前年同期から20%増えたとのこと。円安の影響が大きいとは言え、売上高純利益は最高水準にあります。景気減速が言われる中国などを尻目に(中国の不調そのものが日本に与える影響は今後懸念されますが)、快調に地力を伸ばしている印象です。

 2023年3月期に決算発表をした企業の純利益が過去最高だったのは全体の4社に1社と、新型コロナ禍以降で2番目の高水準となりました。日本株の魅力が見直され、6~7月くらいまでグイグイと株価が上昇していったことは記憶に新しいところです。

 メディアには「バブル後最高値を更新」といった文字が踊り、「日経平均4万円到達」を視野に入れた記事も散見されました。ここにきて、少し停滞気味ではありますが、それでも、8月10日現在で3万2000円台を維持しており、長らく30年のデフレに苦しんできた日本にとって、久々に元気が出る状況です。

日本企業の業績は「好調」だが…

 では企業業績好調・株高の要因はなんでしょうか。世界的な有名投資家ウォーレン・バフェット氏が日本の5大商社の株式を大量の保有していることが判明するなど、世界的に日本株が注目を集めていることもありそうです。コロナ禍で苦しんだ企業の業績が、ようやく戻ってきたことも株高の要因として挙げられるでしょう。

 しかし、最大の原因は円安だと思います。世界の中央銀行が金融引き締めに転換する中、日本銀行は先般、長期金利の変動幅を広げたものの(いわゆるYCCコントロールの一部見直し)、相対的に見て基本的に金融緩和政策を継続しています。そのため円安が続き、そこに資源高も加わって物価が上昇、賃上げも進むなど、日本もようやくデフレからの脱却がかなり現実味を帯びてくるようになりました。

 この状態を外国人投資家から見れば、減速する中国経済、特に経済安保的目線から投資しづらくなっている中国などと比べ、日本の株式市場はかなり魅力的な投資先と映ります。それが日本企業の業績向上や日本株の好調を支える最も大きな要因なのだと思います。