インドネシア東部ラブアンバジョで開催されたASEAN首脳会議に参加した各国首脳ら(2023年5月10日、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(川島 博之:ベトナム・ビングループ、Martial Research & Management 主席経済顧問)

 第42回ASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議が5月9日から11日にかけてインドネシアで開催された。議長はインドネシアのジョコ・ウィドド大統領である。

 昨年(2022年)のASEAN首脳会議はクーデターが起きたミャンマーへの対応を巡って世界の注目を集めたが、今回は特に注目された議題もなく、コロナ対策、経済や環境問題について当たり障りのない議論を行い、メンバーの結束を謳うだけに終わった。

 ただ水面下においてASEANは岐路に立たされている。それは米中対立が激化し、中国で不動産バブルの崩壊が始まったからだ。ASEANは米中の対立を最も強く受ける地域でもある。

 今回のサミットの開催に際しても、中国は南シナ海で軍事演習を行った。典型的な砲艦外交であり、ASEANが結束して中国に対抗することがないよう警告を発している。