(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)
最近になって中国が、ウクライナの和平提案や国際安全保障案といった一連の「対外政策」的な文書を連続して発表している。米国の外交や内政を酷評する文書も多い。
この動きに対して米国では、中国をウォッチしている議会の諮問機関では最有力の委員会が「中国の真の狙いは、ロシアのウクライナ侵略に対抗する米欧の団結を崩し、ロシアを有利にして米国の国際的影響力を弱めることだ」とする見解を公表した。中国側のその動きは、「基本的に空疎な反米プロパガンダ」であるという。
ウクライナ戦争の和平案を発表した中国
米国議会で超党派の議員や専門家が集まり、米中関係や中国の動向を恒常的に研究している米中経済安保調査委員会は3月上旬、「中国のウクライナ政策などの対外文書類の研究」と題する調査報告書を発表した。
この委員会は、中国の状況を調べ、その結果を米国の政府や議会に政策勧告という形で伝えることを活動目標としている。2001年頃から活動を始め、米国議会において中国関連では最も影響力の大きい機関とされている。