(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)
開始から1年が過ぎたロシアのウクライナ侵略の当面の戦局は、米国政府がウクライナにF16戦闘機と米陸軍戦術ミサイルシステム(ATACMS)を供与するか否かにかかってきた。
ところがこの両兵器ともウクライナ側が切望しているにもかかわらず、今のところバイデン政権はいずれの供与にも「ノー」の態度をみせている。
同政権はこれまでも新たな兵器をウクライナに供与することに当初は反対の立場を公式に表明してきたが、米国内の世論や欧州での求めが強くなると、圧力に押し切られる形で渋々と供与に踏み切るというパターンを続けてきた。だがこの形の対応だと肝心の兵器がウクライナ軍の実戦に使われる時期が大幅に遅れるという危険性が指摘されている。