(羽田 真代:在韓ビジネスライター)
公益財団法人日本漢字能力検定協会が、今年1年の世相を漢字一字で表現す「今年の漢字」を発表した。これは1995年から毎年開催されており、今年で28回目になる。2022年は、およそ22万票の応募があったそうだ。そのうち1万804票が「戦」に入り、今年を表す漢字に選ばれた。
2022年はロシアのウクライナ侵攻により「戦」争の恐ろしさを目の当たりにした1年だった。北朝鮮による相次ぐミサイル発射も我々に「戦」という強い印象を与えた。加えて、円安・物価高による生活上での「戦」い、新型コロナウイルスとの「戦」い、サッカーワールドカップや野球・大谷翔平選手の偉業などスポーツでの熱「戦」や記録に挑「戦」したことなども、この漢字が選ばれた理由に挙げられている。
過去に選ばれた「災」や「偽」のように、悲観的なイメージだけが先行する漢字が選ばれなくてよかった。「戦」なら皆が来年も前を向いて歩んでいけるだろう、そう信じたい。
一方で韓国はというと、日本よりも1日早く「今年の四字熟語」が発表された。
「今年の四字熟語」は教授団体が作る「教授新聞」が行っているもので、2001年に始まった。教授新聞編集会議で、参加者が「私たちも1年を整理する作業をしてみよう」と提案して始まったものだという。
韓国メディアのアジア経済は、「日本が私たちより1年早い2000年に、今年1年を『漢字』一文字に整理する作業を始めた」と、自国で「今年の四字熟語」の発表が始まった経緯を報じていたが、冒頭にもご紹介した通り、日本では1995年から「今年の漢字」が始まっている。
ついでに説明しておくと、日本と同じ漢字一文字にしなかったのは、「日本の形式をそのまま真似するより、大衆が四字熟語に慣れているから、それでやってみようと意見がまとまった」からだそうだ。