(北村 淳:軍事社会学者)
2022年10月1日、中国海軍は075型強襲揚陸艦「安徽」を就役させた。「安徽」は同型艦の3番艦である。075型強襲揚陸艦の1番艦「海南」が就役したのは2021年4月23日であり、2番艦「広西」の就役は同年12月26日であったので、中国海軍はわずか1年半のうちに3隻の強襲揚陸艦を戦力に加えたことになる。
075型強襲揚陸艦は全長237メートルで、排水量4万トン以上。ヘリコプター用飛行甲板とウェルデッキ(揚陸艇や水陸両用車両を収容・発着させる)を備えており、30機のヘリコプターを積載することができる。アメリカ海軍水陸両用戦隊のワスプ級強襲揚陸艦とほぼ同じ大きさの揚陸艦である(ただしワスプ級には、垂直/短距離離着陸戦闘攻撃機 [AV-8Bを24機、あるいはF-35Bを20機] を搭載できるため、ワスプ級のほうが075型より強力な航空戦力を保持している)。
建艦スピードが遅いアメリカ海軍
アメリカ海軍は、老朽化してきたワスプ級の後継艦と位置づけられているアメリカ級強襲揚陸艦の建造に取りかかっているが、建造スピードが遅い(とくに中国海軍と比べると)ため、いまだに1番艦「アメリカ」(佐世保が母港)と2番艦「トリポリ」の2隻しか就役していない。