恒大集団を待ち受ける運命は、破綻か解体か
この秋の「6中全会」(中国共産党第19期中央委員会第6回全体会議)を経て、「中南海」(北京の最高幹部の職住地)は、来年秋の第20回中国共産党大会へ向けて一直線となる。いわゆる「権力闘争の季節」の到来だ。
習近平主席は20回大会で、異例の「党総書記3期目」のコンセンサスを、ほぼ取りつつある。そうなると、次の焦点は、ナンバー2の首相人事である。
「団派」の現役トップである李克強首相としては、同じ「団派」の汪洋政協主席か胡春華副首相に引き継がせたい。習近平主席は、おそらく自分の「忠臣」を据えたいだろう。ここに恒大問題が割って入ったのである。
汪政協主席ら「団派」は「政府が恒大を救済すべきだ」と主張し、「政権側」には「潰してしまえ」という声もあった。9月に入ってそんな論争を続けているうちに、海外が「中国発の世界的金融危機(リーマンショック)到来か」と騒ぎ始めた。もしそんなことになれば、現政権も吹っ飛びかねない。
そこで9月18日と19日の土日に急遽、韓正(かん・せい)党常務委員(序列7位)が広東省深圳を訪問。香港の金融当局幹部も呼び寄せて、善後策を話し合ったもようだ。
今後、恒大がどうなるのかについてだが、一つの予測として、「本業」の不動産業だけをとりあえず残して、自動車、ネット映像、ミネラルウォーターなどの事業を売却させるのではないか。そこで得た資金で利払いを行い、現在着工するはずのマンションを着工させていく。
それでも、33兆円もの負債を完済できる見込みはないから、「次の一手」も考えていくだろう。そして政権を動揺させないため、ソフトランディングを図っていくに違いない。
いずれにしても、冒頭述べたように、汪洋政協主席が顔を見せ始めたところに、政権としての何らかのコンセンサスができたと見るべきだろう。ただし汪洋政協主席は、「次期首相レース」で脱落寸前かもしれないが。