アフガニスタンの首都カブールで武器を構えるタリバンの戦闘員(2021年8月17日、写真:UPI/アフロ)

(藤谷 昌敏:日本戦略研究フォーラム政策提言委員・元公安調査庁金沢公安調査事務所長)

 8月15日、アフガニスタンで、米国や日本など各国が支えてきたガニ政権が崩壊し、スンニ派過激勢力「タリバン」が20年ぶりに首都カブールを制圧して権力を再掌握した。

 元々、タリバンは、1994年11月、アフガニスタン南部カンダハール州マイワンド郡でマドラサ(イスラム教寄宿学校)を開いていたモハンメド・オマルがタリバンと称する武装グループを組織し、州都カンダハールを制圧したことが始まりだ。その後、各地から多くのイスラム神学生が加わり、全土の南半分を掌握し、1996年9月には、首都カブールを制圧して「アフガニスタン・イスラム首長国」の樹立を宣言した。さらに、1998年8月、北部・バルフ州都マザリシャリフを制圧したことで、アフガニスタンの大部分を支配するに至った。

 1997年、タリバンは、オサマ・ビン・ラディン(国際テロ組織「アルカイダ」創設者、FBI最重要指名手配者、2011年5月、パキスタンにおいて米軍特殊部隊により殺害)を保護下に入れた後、その思想的影響を受けて一層過激化する。国連安保理がビン・ラディンの引き渡しを求めて、アフガニスタンへの民間航空機の乗り入れ禁止やタリバン関係の銀行口座の凍結などを定めた安保理決議第1267号を採択したにもかかわらず、タリバンはビン・ラディンの引き渡しを拒絶した。さらに国連安保理は、2000年12月、イエメン・アデン港で発生した米駆逐艦コール爆破テロ事件(同年10月)に関連し、改めてビン・ラディンの身柄引渡しを求める安保理決議第1333号を採択したが、それでも引き渡しを拒絶した。