7月1日、中国共産党創立100年の式典で人民服に身をつつみ演説する習近平総書記(写真:新華社/アフロ)

 その男、習近平総書記(68歳)は、7月1日午前8時57分、さながら故・毛沢東主席の亡霊のように、毛主席が愛用していた灰色の人民服を着て、「慶祝中国共産党成立100周年大会」が開かれる天安門の楼台に現れた。向かって右横には、9年前に共産党総書記を習近平に委譲した胡錦濤を従えている。

 楼台に上がった現・元幹部たちが全員、背広にネクタイ姿なのに、習近平総書記だけ灰色の人民服姿というのは、「自分は毛沢東の後継者である」と、内外に宣布する目的と見える。

党を称える歌を1000人が絶唱

 天安門広場には、7万人の幹部や人民解放軍、若者代表たちが、一糸乱れず整列。習総書記は、彼らを満足げに睥睨した。思えば、共産党成立100周年のお祭りなのに、習総書記以下、厳めしい顔つきを崩さず、誰一人ニコリともしない。習近平時代になってから、この種の祝典から「笑顔」というものが消えた。

 8時35分から「前座」として、緑に統一された制服姿の1000人の若者代表が、天安門広場で、中国共産党を称える6曲を絶唱した。6曲のタイトルは、『団結はまさにパワーだ』『われわれは大きな道の上を歩く』『社会主義はすばらしい』『われわれは共産主義の後継者』『新たな天地』『共産党がなければまさに新中国もなかった』。1989年にこの場所で血に染まった若者たち(天安門事件)を目撃してきた世代としては、複雑な思いが湧いてくる。その後、29機の空軍機が「100」の字をかたどった飛行を披露した。

「100」の形を組みながらの飛行を披露する中国軍のヘリコプター(写真:ロイター/アフロ)