2日のロンドン市場は、ユーロが堅調に推移している。ユーロ円は一時121円台乗せ、ユーロポンド0.89台乗せ、ユーロスイス1.28台後半など東京市場から水準を上げる動き。ユーロドルも1.47台後半から1.48台半ばへと上昇している。
この日は欧州金融当局者の発言が相次いだ。バイトマン独連銀新総裁がフランクフルトで初のスピーチを行なった。物価安定は金融政策の主目的であり続ける、ECBは最終的に非伝統的措置を解除すること必要、危機対応策は長引けば副作用も、ECBの政策正常化は時間の問題、と述べてウェーバー氏のタカ派路線を踏襲することを宣言している。同イベントに出席したトリシェECB総裁も、伝統的措置と非伝統的措置は厳格に区別すべき、として利上げによってインフレを未然に防止する姿勢を示した。また、ウェリンク・オランダ中銀総裁は、ドラギ伊中銀総裁が次期ECB総裁にふさわしい人物、と述べている。ドラギ氏もタカ派を自認しており、市場には次期ECBメンバーはタカ派色を強めるのでは、との思惑が広がっていた。また、ユーロにとっては序盤に発表された独欧の4月製造業PMI・確報値が上方修正されたことも下支えとなった。ただ、全般的には値動きは限定的。あすのロンドン株式・債券市場の再開が待たれる。
◆ビンラディン殺害報道、反応は混沌
きょうのトピックスは東京昼前に報じられたビンラディン殺害のニュース。東京市場では米株先物が上昇、日経平均が1万円台乗せ、米債売り(利回り上昇)の反応、安堵感からかリスク選好ムードとなった。為替市場ではドル買いや円売りの動きを見せる場面があった。
欧州株も堅調にスタートし、その後も高止まりとなっている。しかし、円安の動きは広がりをみせていない。ユーロ円は一時121円台に乗せたあと、120円台後半へと落ち着いている。ポンド円は136円台乗せから135円台後半へと伸び悩んでいる。ドル円は81円台半ばでのこう着状態。各国政府からは報復的なテロへの警戒姿勢を強めるとの発表も多く、原油先物は大幅安になるなどリスクマネーが逃げる動きもでている。カナダ円は86円近辺から85円台後半へと押し戻されている。米債利回りの上昇も一服。市場の安堵感は長続きしていない印象を受ける。テロ事件の当事国である米国市場の反応に注目したいところだ。
(Klugシニアアナリスト 松木秀明)