米マイクロソフトが発表した1~3月期の決算が話題になっている。昨年の7~9月期に売上高が米アップルに抜かれていた同社だが、今回初めて純利益もアップルに抜かれた。主力のパソコン基本ソフト(OS)事業の収益が1年前に比べて4%減と振るわなかった。

タブレット隆盛の影響、震災よりも大きく

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純利益で初めてアップルに抜かれたマイクロソフト〔AFPBB News

 東日本大震災の影響で、同社にとって重要な日本市場で販売が伸び悩んだことが要因と米ニューヨーク・タイムズなどの海外メディアは報じているが、より大きな問題はタブレット端末の隆盛にあると言われている。

 東日本大震災のように一時的な事態ではなく、消費者向けパソコン市場が大きく変化しているという兆候があるからだ。

 米ウォールストリート・ジャーナルは、今後も「ウィンドウズ(Windows)」が同社の主力商品と位置づけられるならば、長期的に見て問題は深刻化すると伝えている。

 マイクロソフトのピーター・クライン最高財務責任者(CFO)によると、消費者向けパソコンの売り上げが8%落ち込んでおり、とりわけ低価格パソコン「ネットブック」が40%落ち込んだ。これがウィンドウズ部門収益減の要因だと同氏は話している。

アップル、世界4位のパソコンメーカーに?

 かねてタブレット端末が従来型パソコンのシェアを浸食していることは米国の大手調査会社が指摘していたが、先頃、英国の調査会社カナリスがそれを裏付ける興味深い調査結果を発表した。

 それによると、「アイパッド(iPad)」などのタブレット端末をパソコンと考えた場合、アップルのシェアは10%になり、同社は、米ヒューレット・パッカード(HP)、台湾エイサー、米デルに次ぐ世界第4位のパソコンメーカーになるというのだ。

 アイパッド人気を背景に、大手3社もタブレット端末を手がけているが、いずれもマイクロソフトのソフトウエアを採用していない。

 現在のタブレット市場はアイパッドと米グーグルの「アンドロイド(Android)」搭載端末が人気を二分しているという状態で、これがマイクロソフトの収益を圧迫しているというのだ。

「ウィンドウズは史上最速の売れ行き」だが・・・

 リリースしてから1年半が経った「ウィンドウズ7(Windows 7)」は、ライセンス販売が3億5000万本に達し、マイクロソフトによると「史上最速の売れ行き」。

 米金融サービスBGCフィナンシャルのアナリストはこうしたことから、「パソコンが市場から消えることはない」としながらも、「アップルの躍進は市場に明らかに混乱をもたらしている」と指摘している。