テスラ「モデルX」(写真:AP/アフロ)

 米テスラは4月2日、2021年1~3月期の電気自動車(EV)世界販売台数が前年同期比2.1倍の18万4800台になったと明らかにした。四半期ベースでこれまでの最高だった20年10~12月期の18万570台を上回った。

 同社は、中国工場で生産した小型SUV(多目的スポーツ車)の納車を21年1月に開始した。テスラのザック・カークホーンCFO(最高財務責任者)によると同モデルの中国での売れ行きが好調だったという。米CNBCは、1~3月期の世界販売台数は市場予想の16万8000台も上回ったと報じている。

 同四半期の車種別の販売台数は小型車の「モデル3」と小型SUV「モデルY」の合計が前年同期比2.4倍の18万2780台。一方、高級セダン「モデルS」と高級SUV「モデルX」の合計は同83%減の2020台にとどまった。同四半期はモデルSとモデルXの製造をしておらず、在庫分の販売に限られた。

 全車種の合計生産台数は前年同期比76%増の18万338台だった。テスラはモデルSとモデルXの新型車を市場投入する計画で、1~3月期は新しい製造装置の導入と試験を行った。「すでに量産の初期段階に入った」と説明している。

中国・上海工場の生産能力増強

 20億ドル(約2200億円)を投じて建設した中国・上海工場で生産したモデル3の一般向け納車を始めたのは20年1月だった。その後同国でモデル3の生産能力を増強するとともに、モデルYの生産ラインも構築。21年1月に中国製モデルYの販売を開始した。

 モデルYは中国生産のテスラ車として、モデル3に次ぐ2車種目。モデルYも加わったことで、22年までにテスラ車の世界販売台数の4割超を中国市場が占めると、米証券会社ウェドブッシュのアナリストは予測している。

 上海工場はテスラが米国外に初めて設けた「ギガファクトリー」。20年10月には同工場で生産したモデル3をドイツやフランス、イタリア、スイスなど欧州10カ国以上に輸出すると明らかにした。同完成車工場の年間生産台数は20年10月末時点で25万台。ただ、同社は最終的に50万台を生産する計画だ。

 テスラの中国事業を巡っては、EV用充電器の生産を始めるとも伝えられている。中国向け充電器はこれまで米国から輸入していた。上海のギガファクトリー近くに640万ドル(約7億820万ドル)を投じ、年間生産能力1万台の充電器工場を建設中だという。