著名な投資家がインフレ対策で仮想通貨を保有

 「値動きが大きくて怖い」というイメージで語られがちなビットコインを、世界の名だたる投資家が資産に組み入れる動きが加速しています。

 2020年春には、世界屈指の規模を誇るヘッジファンド(いかなる市場環境でも収益の獲得を目指して資産運用を行うファンド)のルネッサンス・テクノロジーズが、自社で運用するファンドにビットコインを組み入れることを示唆する報道がありました。同じく著名なヘッジファンドの投資家であるポール・チューダー・ジョーンズ氏は、自らの資産にビットコインを数%程度組み入れていることを明らかにしました。

 ジョーンズ氏は、「インフレヘッジ」の目的でビットコインを保有しているといいます。現在、新型コロナウイルスへの対策として世界中で金融緩和が行われていることにより、米ドルや日本円などの通貨の価値が下がり、インフレが発生する可能性が指摘されています。インフレのリスクに備えて、中央銀行による金融政策の影響を直接受けないビットコインを持つ、という考え方です。

 前回の記事で、仮想通貨が送金などの実用的な手段で使われる機会が増えていることを書きました。これらの実需に加えて、世界の著名な投資家が仮想通貨の売買を行うようになったことは、仮想通貨のイメージが「怪しい投機の手段」ではなく、「有効な資産運用の手段」へと変わってきたことを示しているように思います。

ビットコインは「デジタルゴールド」とも呼ばれることもビットコインは「デジタルゴールド」とも呼ばれることもあり、金(ゴールド)と並ぶ「インフレに強い資産」と認識されつつある

仮想通貨を個人の資産運用に活用する

 ビットコイン/円の交換レートが、仮にドル/円の為替レートより10倍激しく動くとするならば、「ビットコインの資金効率は米ドルの10倍」とみなすことができます。ドル/円を10万円分持つのと同じ効果が、ビットコインなら1万円買うだけで得られる。そんな考え方も成り立ちます。

 ビットコインもうまく活用すれば、私たちの資産運用がより効率的なものになるかもしれません。

 ビットコインをはじめとする仮想通貨の価格は、どういった要因で動くのでしょうか。これは株価や為替と同じように、さまざまな要因がからみ合っているので、100%言い当てるのは難しいものです。それでも、大きな値動きが発生したときの市場の背景をていねいに読み解くことで、今後に向けて何らかの傾向がつかめるかもしれません。アナリストが配信するレポートや動画にも注目してみましょう。

 最終回となる次回は、仮想通貨(暗号資産)の買い方や取引所の選び方について考えたいと思います。