間違えてはいけない「解雇の種類」の選択
さて、以上を踏まえて、改めて冒頭のケースを考えてみよう。はたしてあなたは「普通解雇」と「懲戒解雇」のどちらを選択するだろうか。理論上は、どちらを選択することも可能であるが……。一般的には勤怠不良のようなケースで解雇がやむを得ないとするならば、「普通解雇」が相応であると思われる。
実際に問題社員に対する解雇の相談を受けている中で、はじめから「解雇=懲戒解雇」のイメージを持っている方も多いと実感している。しかし、当該解雇には「普通解雇」と「懲戒解雇」の2種類があり(「整理解雇」は状況が異なるので今回は除外)、多くの場合は「普通解雇」が該当するということをぜひ理解しておこう。
「懲戒解雇」の出番があるとすれば、それは本当に余程のケースである。テレビドラマの『必殺仕事人』、『水戸黄門』、『半沢直樹』……などなど、我々は「勧善懲悪」のストーリーを好む傾向があり、悪い人を懲らしめたいという感情は自然なものだから理解もできる。しかし、労務の現場においては、一時的な感情に流されて誤った解雇の種類を選択しないように、ぜひとも心掛けたいものである。
出岡健太郎
出岡社会保険労務士事務所
http://izuoka.net/
著者プロフィール HRプロ編集部 採用、教育・研修、労務、人事戦略などにおける人事トレンドを発信中。押さえておきたい基本知識から、最新ニュース、対談・インタビューやお役立ち情報・セミナーレポートまで、HRプロならではの視点と情報量でお届けします。 |