フェイスブックのロゴ(写真:ZUMA Press/アフロ)

 米フェイスブック(FB)がSNS上でヘイトスピーチ(憎悪表現)などの投稿を容認しているとして、広告掲載を中止した企業は徐々に掲載を再開しつつあるものの、大手企業など一部の広告主は今もボイコットを続けているという。

ユニリーバやコカ・コーラなど依然見合わせ

 ロイターによると、食品・日用品大手の英蘭ユニリーバや飲料大手の米コカ・コーラは、いまだ再開の時期を明らかにしていない。蒸留酒メーカーの米ビームサントリーは年内の再開を見合わせ、フェイスブックの問題解決への取り組みを見ながら来年に再検討すると述べている。

 業界団体の世界広告主連盟は9月、フェイスブックや米ツイッター、米グーグルの傘下の米ユーチューブなどのソーシャルメディア企業と、有害コンテンツに関する統一した定義の策定や共通の報告基準を導入することで合意した。

 大手はこの合意内容に一定の理解を示したものの、いまだ再開の決断をためらっているという。

トランプ大統領の投稿放置で非難殺到

 きっかけは5月下旬に米ミネアポリスで黒人男性が警官に殺害された事件だった。これを受け、フェイスブックがかねて人種や民族の差別や憎悪を助長する投稿を放置しているとして批判が高まった。

 最も顕著だったのはトランプ米大統領の投稿に対するフェイスブックの対応。死亡事件をきっかけに全米各地で大規模な抗議デモが起きたが、これに大統領は「略奪が始まれば、銃撃も始まる」と警告。抗議デモへの参加者を「悪党」と呼んだ。しかし、かねて表現の自由を重視する方針を示していたフェイスブックは大統領の投稿を容認した。