9月12日、米カリフォルニア州サンディエゴの動物園で、絶滅が危惧される「モウコノウマ(蒙古野馬=Przewalski's Wild Horse)」の赤ちゃんが、40年間保存されていたDNAからのクローニングで8月6日、代理母によて産み落とされたとの報道がありました。
心温まる報道のように思われますが、実はこの「クローニング」と「新型コロナウイルス感染症」対策の間には、実は極めて密接な関係があるのです。
一度絶滅した「蒙古野馬」
「蒙古野馬」はサラブレッドのように華奢ではありません。
ずんぐりむっくりとした体形です。しかし、シマウマと同じようにたてがみがピンと立った「野馬」のシルエットは独特で、他のウマたちとは一線を画しています。
この「ノウマ」、ロシアの「探検家」ニコライ・プルツェワルスキー(1839-88)が1879年に初めて確認したことから、彼の名が学名に付されています。
20世紀に入って、どのような理由によるのか定かでありませんが数が減少し、1966年に目撃されたのを最後に自然界では姿を消してしまいました。
しかし「発見」されて以降、世界の動物園でも飼育されるようになり、人工的な環境では各国で約1000頭ほどが飼育されており、そこで増やして野生に戻す取り組みも行われているそうです。
今回の赤ちゃんの「親」は1975年に英国で生まれ、1980年に米サンディゴの「冷凍動物園」にDNAが保存されたもので、親馬自身は1998年まで生存していたそうです。
しかし、死して早22年、まさか自分の子供ならぬコピー、つまりクローンが、21世紀の第3ディケードに誕生するとは、ゆめゆめ想像だにしなかったことでしょう。