27日のNY市場、後半になってドル売りが優勢となった。この日の最大の注目はFOMCの結果発表だったが、声明、バーナンキ議長の会見で、FRBの慎重姿勢が再確認されたことから、ドル売りが進んでいる。株価や商品市場が上昇したことも、その流れに拍車をかけた。
ユーロドルは1.48近くまで上昇し、また、82円台後半まで回復していたドル円は82円台前半まで下落。
声明は、概ね変化は無かったものの、細かく見ると、6000億ドルの国債購入について、前回の6月末まで購入するつもり(intends to purchase)から、6月末までに購入を完了する(will complete purchases )に変更されていた。予定通りの購入を6月末までは継続し、その後は一旦打ち切る方針を示唆したものとも思われる。これをどう判断するかは何とも言えないが、原油高についても一時的とのスタンスを継続しており、インフレ見通しは引き上げられたものの、FRBは慎重姿勢を維持しており、とりあえず、素直にドル売りで反応したようだ。
◆バーナンキ会見 まずますのスタートか
今回からFOMC後にバーナンキ議長の議長会見が実施されている。会見内容は声明に沿った内容で、6月の量的緩和第2弾(QE2)終了後も、しばらくは緩和姿勢を継続する姿勢を示した。ほぼ予想通りの内容ではあったが、市場に不可解な混乱を招くことも無く、まずますのスタートだったように思われる。
今回の会見で、国債の償還に伴う資金の再投資を止めることは引締めと同様と述べていた。引締めの開始は再投資の中止からということを示唆していたのかもしれない。また、行動の前に数回の会合が必要との認識も示していた。年内に引き締めに転じる可能性もあるが、まずは再投資の中止から始め、利上げ自体は早くても年末か、来年以降の可能性が更に高まったようにも感じられた。
(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)