運用商品のラインアップは金融機関により異なる

 iDeCoの運用商品は、定期預金など安全性重視のものから、投資信託など収益性重視のものまでさまざまです。取り扱い商品のラインアップは、各金融機関により異なります。保険会社の場合は元本確保型として、年金保険をラインアップしていることもあります。

 つみたてNISAの場合も、金融庁が定めたつみたてNISA対象商品をベースに、各金融機関で取り扱う商品を選定しています。ほぼすべての対象商品をラインアップしているところや数本に絞っているところもあり、金融機関によりラインアップにばらつきがあるようです。

拠出時・運用時・受給時の税制優遇は?

拠出時:iDeCoの掛金は全額所得控除

 iDeCoは、自営業者、会社員、公務員、専業主婦(夫)など、職業により拠出限度額(投資限度額)が異なります。例えば第1号被保険者にあたる自営業者の場合、年間の拠出限度額は81.6万円(月額6.8万円が限度)。

 ちなみに、拠出額のことは「掛金」とも呼びます。掛金は全額所得控除の対象になるため、iDeCoを活用することで所得税や住民税の軽減効果が得られます。

 一方、つみたてNISAの投資限度額は、職業年齢に関わらず一律年間40万円です。投資額は所得控除の対象になりません。

運用時:値上がり益や分配金などが非課税に

 iDeCoの運用益(値上がり益や分配金など)は、つみたてNISAと同様に非課税です。

 iDeCoは原則、60歳まで運用資産(年金資産)の引き出しができません。そのため、分配金を受け取ったり、運用していた商品を売却した際には、別の商品に再投資したり、預け替えたりする(=スイッチングする)ことになります。

 つみたてNISAはスイッチングができないため、途中売却した場合は非課税で、MRFや普通預金(口座開設金融機関により異なります)に振り込まれます。

 MRFについては、こちらの記事で解説しています。

 証券口座のMRFとは? MMFとの違いも解説

受給時:iDeCoの受け取り方は3パターン

 iDeCoは60歳以降に運用資産を受給することができ、2020年6月現在、受給開始時期は70歳まで(2022年4月からは75歳まで)延ばすことができます。

 iDeCoの受給方法には、「一時金」「年金」「一時金と年金の併用」の3パターンがあり、

  1. 一時金で受給する場合は、退職所得控除が適用されます。
  2. 年金で受給する場合は、公的年金と同様に、公的年金等控除の対象となります。

 一般的に、年金方式でiDeCoを受給する場合は、5年~20年の受給期間を選択します。また、支給回数は年1回、隔月、毎月など選択できます

 つみたてNISAの場合は、非課税期間終了時に運用益非課税で課税口座に移管し、運用を続けるか、換金するかを選択することになります。

iDeCoとつみたてNISAの組み合わせで賢く資産形成

 「100年人生」とも言われる今、老後に備えた資産形成の手段としてiDeCoとつみたてNISAが取り上げられることが多いですが、制度的にはかなり違いがあります。

 iDeCoは老後公的年金を補完することを目的として、60歳未満での払い出しを制限しています。一方つみたてNISAは、20年間の非課税期間途中の換金に関する制限がないので、子どもの教育資金や住宅、車の購入資金など、60歳以前のまとまった資金需要にも活用できます。

 iDeCoの60歳未満の引き出し不可のデメリットを、つみたてNISAの活用によってカバーすることも可能です。それぞれの仕組みを知ることで、賢く資産形成をしていきましょう。