値下がりした投資商品はどうする?

 いまから約1年前、「老後資金は2000万円不足」とした金融庁の金融審議会ワーキンググループの報告書が話題になった。いわゆる「老後2000万円問題」だ。

 折から金融庁は家計の資産形成のためにつみたてNISAを2018年1月にスタート。2019年3月末時点で約50万口座だったのが、この問題を契機に6月末には3倍増の約150万口座まで増え、投資への関心が一気に広がった。しかし、この1年で世界的に株価は大きく下落した。株式投資を始めて1年もたたない人は、老後どころか今の株価が不安になる人も多いだろう。

 ただ、FXや仮想通貨といった投機性の高いものではなく、つみたてNISAなど長期分散投資をしている場合、目先であせることはなく、むしろ下落したときに積み立てを続けていれば将来の果実になる。

 そこで、ベテラン個人投資家たちの意見を紹介したい。

 10年前から長期積み立て投資をしている一般投資家が集まるイベント「コツコツ投資家がコツコツ集まる夕べ」が開かれている。最初は東京だけだったが、現在では北海道から九州まで各地で独自に行われている。

 その「コツコツ投資の会」の発起人3人が、コロナ時代にどうすればよいか、ネットで個人投資家にアンケート。約30人からの回答をもとに座談会の音声コンテンツをネットにアップしているのだ。

<コツコツ投資家がコツコツ集まる夕べ(東京)>
https://anchor.fm/k2k2-tokyo-2010

 発起人の3人とは、ファイナンシャルジャーナリストの竹川美奈子さん、雑誌「投資信託事情」の島田知保編集長、ブロガーのrennyさんである。

 アンケートでは、初心者の方からは、「投資を続ければいいのか」、「こんなに下落したのは不安」といった回答があったが、ベテラン勢はむしろ、ルンルンといった雰囲気だったそう。

 3人の意見はこうした相場でもあたふたせず、今まで通りの積立投資をするべきだということで一致した。もし、不安すぎる場合は「自分がリスクを取りすぎではないか」ともう一度チェックする。遠い将来をみたときにどういう景色がみえるかということが重要だという。

 竹川さんは取材に対し、急落で慌てないためには、自分の方針を「ルール化」し、それに沿って淡々と実行するのが一番だという。「価格が下がっているときには、たくさんの量(投信の口数)を買い増しているんだな、と思えればしめたもの。リーマンショックの時も、5年、10年経った時に笑顔でいられたのは一時的な下げに動揺せずに積み立て投資を続けた人たちだった」そうだ。「分散投資をしていても、一時的に大きく下落することはある。短期ではなく、長期的に考える」ということを再確認し、「続ける」という選択をしてほしい、と訴える。

「しばらくは不安定な相場が続くかもしれませんが、コロナ・ショックから5年、10年経った時に、笑顔でいられる人になりたいですね」(竹川さん)

 家計がひっ迫していれば投資を取り崩すのも当然だが、××ショックといわれるような不況は生涯、何度も起きる。まず、家計の見直しをするとともに、可能だったら長期投資を続けることが、長期的に家計を安定するために重要だといえる。