決定力のある救済策が待たれる
すでに航空会社や船舶の定期船は国際線および国内線の大幅な減便、運行の停止を余儀なくされています。学校やテーマパークは閉ざされ、結婚式やスポーツ大会、大規模なイベントも続々と中止されています。人が訪れることで成り立っているすべての産業、主に商業ですが、デパート、ショッピングモール、レストラン、バーなどのあらゆる飲食店、ホテル・旅館、お土産物店、テーマパーク、映画館、劇場などの観光・エンターテインメント業界などは、売上げのメドがまったく立たない状態です。
これらの産業ははたから見ていても気の毒なほど、厳しい収益環境に置かれています。売上げが立たず、先行きの経営が困難になる企業も出始めています。
ウイルスの感染が終息する時期がいつになるか、誰にもわかりません。すでに一部の企業では新入社員の就職の内定が取り消されたり、来年度の採用計画に影響が出始めたりしている模様です。
このような国民的難題を打開するには国策の発動しかありません。賃金の未払いやリストラなど経済全体に深刻な影響が広がる前に、早急に行政、政府サイドで経済対策を打つ必要があります。ただしこれも、すでに商品券の配布や納税猶予、緊急融資の拡張などさまざまなアイディアは出ていますが、どれも決定力のある救済策とは言えない状況です。
何よりも恐ろしいのは、このような状況が長期化することです。すでに東京オリンピック・パラリンピックは苦渋の末に1年程度の延期が決定されました。しかし実際のところ、1年後の東京および世界が置かれている状況も、明確には展望できない状態にあります。
有事に必要となるモノを供給できる企業に目を凝らす
人類が共通に置かれている危機的状況に際して、先進国・発展途上国を問わず手を携えてこの難局に当たることが求められています。株価に落とし込んで考えることはかなりむずかしいのですが、しかしウイルスはいつか必ず終息します。そしてこのような危機的状況に直面してこそ、いまの世の中に必要とされる物資や技術も浮かび上がってきます。
人類共通の有事に必要となるモノを供給できる企業には、世情が落ち着いた時にこそあらためて目を凝らしてゆきたいと考えております。非常用食料にもなるパスタの日清製粉グループ本社(2002)、人工心肺のニプロ(8086)、入院病棟のベッド脇に置かれる生体情報モニターの日本光電(6849)、非常用発電機のデンヨー(6517)、物流のアスクル(2678)に注目しています。
東証一部に上場している全ての国内企業の株式を算出対象とする「東証株価指数(TOPIX)」と比べ、デンヨーとアスクルの株価は良好に推移している