19日のNY市場は、ドル安傾向だった。ユーロドルは1.42台後半から1.43台半ばへと上昇し、ちょうど前日の下げを消す形となった。欧州ソブリンリスクの状況は前日からほとんど変化がなかったが、この日は米債利回りの低下に反応している。10年債利回りは3月24日以来となる3.34%台まで低下する場面があった。きっかけとなったのが、ガイトナー米財務長官が、米国はトリプルA格付けを必ず維持する、との発言。ただ、その他の通貨での値動きは比較的落ち着いたものだった。ドル円は取引序盤に82円台後半から前半へと軟化したあとは82.40-50レベルで膠着。ポンドドルは1.62台後半から1.63台乗せへと小幅上昇。ドルスイスは逆に0.89台後半から一時0.90台乗せへとジリ高。NY株式市場が小幅に持ち直したことを好感した面もあったようだ。クロス円はほぼロンドン市場からの水準を維持するに留まっている。また、カナダドルはロンドン市場で発表された3月消費者物価指数が予想を上回ったことや、NY序盤の3月景気先行指数が予想を上回る結果だったことを好感して買われた。ドルカナダは一時0.9550割れ、カナダ円は一時86円台後半へと上昇。ただ、取引中盤からは0.95台後半、86円台前半での揉み合いが続いた。序盤に発表された米住宅指標は予想より改善を示したが、市場では引き続き低水準に留まっているとの見方もあり反応薄だった。この日は前日のリスク回避が落ち着いたことで、全般に穏やかなマーケットだった。

◆金先物、初の1500ドル台乗せ
この日は商品市況が堅調だった。金先物が初の1500ドル台乗せとなったほか、原油先物も108ドル台を回復する場面があった。市場のインフレ懸念には根強いものがあった。ユーロドルが上昇するなどドルがじり安だったことも商品市況を下支えしていた。

(Klugシニアアナリスト 松木秀明)