中国・武漢で発生した新型コロナウイルスの感染はおさまる気配を見せず、全世界に広がりを見せています。その影響は世界経済にもおよび、2月末から3月にかけて世界の主要株価指数が大きく下落しました。今回のマーケットの急変動は、2008年のリーマン・ショックをも思い起こさせます。株式や投資信託で資産運用をしている方にとって、株価の急落はウイルスの感染拡大と並ぶ不安材料かもしれません。
そこでMonJaでは、著名なエコノミストやファイナンシャルプランナー、当サイトの執筆者などを対象にアンケートを実施。個人投資家のみなさまが新型肺炎にどう向き合えばいいか、アドバイスをいただきました。
回答者⑥ 中桐 啓貴さん
GAIA株式会社 代表取締役社長
山一證券、メリルリンチ日本証券を経て米・ブランダイズ大学院にてMBAを取得。帰国後、米国流の顧客本位な資産運用サービスを根付かせたいと2006年にGAIA設立。これまで同社を訪れた相談者は11,000人にものぼる。主な著書に『損しない投資信託』(朝日新書)、『日本一カンタンな「投資」と「お金」の本』(クロスメディア・パブリッシング)などがあり累計10万部を超えている。
過去の中桐さんのインタビューはこちら
短期の変動に振り回されないようにする
① 「新型コロナ」に端を発する今回の調整局面で、個人投資家からはどのような相談が増えていますか?
あるリーダークラスのFP(顧客100世帯)では、ラップの解約が1件。7名は、ラップ(GMA)や投資信託(みのたけ)の買い増しの注文が入っている。
買い増しや追加注文については、昨年から一定額投資していて、下がったタイミングで追加したい人の買い増しや、もともと、短期的な運用を楽しみたい層。
また運用詳しくない方については、今、買った方がいいんでしょう?といった連絡が入ってきている。
余剰資金について、好機と捉えている顧客が多い。
一方、少ないながらもガイアの運用スタンス(長期分散投資)に共感できていない人は、こういう局面で現金化する方もいる。
※編集部註
GMA……ガイアが仲介する楽天証券ラップサービス。
みのたけ……投資信託『楽天・インカム戦略ポートフォリオ・アルファ(奇数月決算型)』の愛称。
② 大きな調整局面で、個人投資家がやってしまいがちなミスややってはいけない行動には何がありますか?
メディアの報道に動揺し、全額現金化してしまうこと。
毎日の値動きを追って、さらに不安になる。
人は他人の行動に影響を受けます。みんなが売っていることで早く売らなければと思って売ってしまうこと。
③ 個人投資家は現状にどう向き合い、どのような行動をとるべきでしょうか?
まずは、何のために投資をしているかを確認する。
10年後の教育費や20年後の老後資金のために投資をしているのであれば、短期の変動に振り回されないようにする。
数年に一度はこうした急落がありながらも、資本主義の中で株は年率平均7%前後で上がってきたことを再度確認する。
過去の危機を何度も越えた米国株に注目
④ こんなタイミングだからこそ、注目したい金融商品や投資手法はありますか?
一時的な不安で株価が急落しているので、株式に投資をしたい。
特に米国株は何度もこのような危機を超えて、そのあと力強く上がっていっているので複数回に分けて米国株を買っていく。
また債券を持っているのであれば、債券の比率が上がっていると思うので、債券を売って株を買うリバランスも有効。
⑤ ご自身の資産運用やお金の使い方で見直した点はございますか?
家族が喜ぶので、外食系の優待を探そうかと考えている。
資産運用は長期で考えているので、淡々と投資を継続していきたい。
⑥ 投資を継続しようかどうか迷っている個人投資家にメッセージをお願いします。
投資は継続してこそリターンが取れますし、10%前後の下落は毎年起こります。
こうした局面で右往左往することなく、投資の好機と捉えぜひ継続をしてください。