*写真はイメージです

(尾藤 克之:コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員)

「本は最初から最後まで全部読むべきでしょうか?」。セミナーでこのような質問をされることがあります。結論からいうと、つまらなかったら、途中で読むのをやめてもいいのです。読書は楽しむものです。つまらない本を読む時間は極力減らし、あなたが楽しむことができる本を読むことをおすすめします。読書は読み方一つで、その効果はまったく違ってきます。

 今回は、筆者の新著『頭がいい人の読書術』の中から、ためになる読書テクニックを、お教えします。テーマは、本の読み方です。

速読の技術は一般的ではない

 速読は、一般的に本を早く読むための技術として考えられています。読書速度をアップさせることができれば効率的に大量の本を読めるとされています。すでに、いくつかの方法論があり、1分間で数万文字を読解することが可能とするものもあります。

 その方法は、眼球の動きや眼筋訓練によってつちかうものや、脳トレによって処理速度を上げることを目的としているものなどかなりの種類があります。右脳が発達している人であればこれらの方法をマスターできるのかもしれませんが、私のような怠け者にはしっくりきません。また、非常に高度な技術が必要とされ汎用性に乏しいものや、なかには読解速度が実証できないものもあります。

 そう考えると、速読は実効性のきわめて薄いパチンコ攻略法に似ていると言えます。「パチンコ攻略法」を謳う書籍・雑誌は多数ありますが、果たしてどれほどの実効性があるのかはわかりません。では、これらは偽情報なのかと聞かれれば、それも不明としか言えません。仮に実効性がないものだとしても、違法性を問うのは難しそうです。出版社側がはじめから偽情報とわかっていて販売している、ということを立証しないと違法とはいえないからです。世に数多く流布している「速読法」も、実際に読めているかを証明することは困難です。