「換金しにくさ」も長続きのポイント

 投資信託を売るときに気をつけたいのは、手続きの時期と実際に売却が行われる時期、さらには売った分のお金が振り込まれる時期が少しずつ異なることです。
 投資信託の時価である「基準価額」は1日1回、銀行などの窓口業務が終わった後に算出されます。したがって、売ろうと申し込む時点では「前日の基準価額」を参考にするしかなく、いざ売ってみたら当日の基準価額が購入時より下がっていたという可能性もあるので、注意が必要です。
 また、投資信託は売ろうと申し込んでから手元に入金されるまでにだいたい4~5日ほどかかるので、すぐにお金が欲しいという方には不便といえます。

 逆に考えれば、好きなときにお金を使えるクレジットカードなどとは正反対の「換金しにくさ」が、投資信託の積立を長く続けられる原動力のひとつかもしれません。

投資信託は手数料と税金も重要

 値上がりした投資信託を売って利益を確定させるとき、注意しなければならないのが手数料と税金です。
 投資信託の運用会社および金融機関に支払わなければならない手数料は、以下の3つです。

① 投資信託を買う時の「購入時手数料」
→購入額に対しておおむね3%以下(消費税を除く。以下同じ)
② 投資信託を保有している間、常に支払う「信託報酬(運用管理費用)」
→投資信託の時価に対して年率0.2%程度~2%以上まで、商品によってさまざま
③ 投資信託を売る・解約する時の「信託財産留保額」
→通常は売却額に対して0.3%程度

 ただし、最近では①の購入時手数料が無料の「ノーロード」といわれる投資信託が増えてきましたし、③信託財産留保額も一定の条件のもとでゼロとなる商品もありますので、よく調べてみてください。

 そして、絶対に支払わなければならないのが税金です。投資信託では、決算時に受け取る収益分配金と、売った時に発生する取得価額を超えた収益、つまり「投資でもうかったお金」に対して約20%の税金がかかってきます。

 ですから私がお勧めするのは、NISA(少額投資非課税制度)です。NISAは、年間120万円までの投資なら、もうかったお金に対する税金が5年間かからないという制度です。これなら投資信託の分配金と売却益にかかる税金がゼロになるので、投資で増えたお金はすべて利益になります。ただし、購入前にNISA口座の開設が必要ですので、ご注意ください。

 長く続けることによって、お手持ちのお金を誰でも手軽に「生きたお金」にできるのが投資信託の魅力だと思います。どうか、あきらめずに投資に関心を持ち続けながら、皆さんにとっての「ベスト」の投資信託、「ベスト」の投資手法を見つけてください。

 次回は、投資信託の投資対象について考えていきましょう。