「預金なら安心」って本当なの? 「元本保証」って、実際に何を保障してくれるの? 実は、現金にもリスクが潜んでいるのです。本連載ではそんな「現金のリスク」を切り口に、お金のほんとうの価値を守るための資産運用について考えていきます。今回のテーマは「分散投資」。食事と同じで、投資も「偏らないこと」が大切です。
前稿では、締めくくりに『インデックスファンドは、何も「アメリカだけ」とか、「日本だけ」など、1つの国のインデックスへの投資だけではありませんよ』と書きました。これは複数の国に分散として投資をする「分散投資」の考え方です。が、分散投資とは「複数の国に分散するだけ」のお話ではありません。本稿では分散投資について見ていきましょう。
「食事も投資もバランス良く」が基本
突然ですが、読者の皆さまの中で、お食事をなさりながら本稿をご覧いただいているお行儀の悪い方、いらっしゃいませんか?
バイキングやブッフェの席にいながら、本稿をご覧いただいている強者は……?
筆者はバイキングが大好きで、よく行きます。
一般の方は、バイキングというと、お行儀良く料理をおしとやかに盛り付けていくことでしょう。
でも変わり者の筆者は、お行儀の良い一般の方とは真逆な行動を取ります。ナンと「いきなり!スイーツ」に向かうのです(ステーキではありません)。スイーツだけを山のように盛り、そして貪りを数度繰り返した後、最後に、申し訳ていどに料理を食べるのです。
スイーツでお腹を満たしたランチバイキングの日には夕食はなし。翌日の朝食もかなり少なめです。
という具合に、筆者は種類も回数もかなり偏った、バランスの悪い食生活です。
さて、プロローグで申し上げた「分散投資」という言葉、本稿の読者でしたら、耳にされたことがあるのではないでしょうか? もちろん、「見慣れない四文字熟語だし、よく分からない」という方もいらっしゃるでしょう。
分散投資とは、ひと言で言うと「バランス良い投資」です。
そうです、お食事と同じです。
ご自身で料理をなさる方なら、バランスの良いお食事を摂るために、レシピを工夫されると思います。
このレシピに当たるものを、投資の世界では「ポートフォリオ」と言います。
「バランスの良い投資」は価格の変動幅を狭める
バランスの良いお食事は、心身の健康を保ってくれます。
では、バランスの良い投資は、何をもたらしてくれるのでしょうか?
バランスの良い投資は、「安定的な投資」を見込むことができます。
「安定的な投資」とは、投資に付きもの価格の変動幅(=上下する幅)を狭めることです。
「投資は恐い」という方の多くは、「価格の変動(=価格が上下する)」のがお嫌いなのではないでしょうか?
投資は恐いという方にこそ、バランスの良い投資に関心をお持ちいただければと思います。
「バランスの良い投資」の考え方
バランスの良い投資を考える前に、その逆の「バランスの悪い投資」とは何かを確認しましょう。
冒頭に申し上げた、筆者のバランスの悪い食生活を思い出してみてください。バイキングでスイーツばかり食べて、その日の夕食を抜くという、種類も回数もかなり偏ったものでしたね。
つまり「バランスの悪い投資」とは、「偏った」投資のことです。
したがって、「バランスの良い投資」とは、「偏っていない」投資のことなのです。
具体的な考え方は、以下の「4つの偏らない」が基本です。
まとめに代えて
本稿では、分散投資=「バランスの良い投資」というイメージをお持ち頂くために、あえて対比のため、バランスの悪い筆者の食生活を披露させていただきました。さらに、バランスの良い投資の具体的な考え方について「4つの偏らない」を挙げました。次回から、「4つの偏らない」を一つひとつ見ていくことにしましょう。
「やはり現金こそ最強だ! 投資なんてとんでもない!」と思いながら、本稿を最後までご覧いただいた読者の皆さま。実は心のどこかで、投資が気になっていらっしゃるのではないでしょうか? そんな皆さまも、本連載を最後までお読みいただいたあかつきには、きっとファンド選びをなさっていらっしゃることでしょう。
「現金のリスク」とは、現金のまま何もしないで放置しておくと生じるリスクのこと。将来に備えてリスクを減らす、つまりお金の価値を守るためには、この「バランスの良い投資」をいかに実践するかが鍵になるのです。
妻の誕生日に買ったケーキ。「こんなに喰えるか?」と妻に絶叫される始末でしたが、写真の他にもまだありました。ちなみに、写真は全て低糖質のショートケーキです。投資もスイーツもバランスが大切です。