「本流トヨタ方式」の土台にある哲学について、「(その1)人間性尊重」「(その2)諸行無常」「(その3)共存共栄」「(その4)現地現物」の4項目に分けて説明しています。
先回に引き続き、「(その4)現地現物」について説明します。
さて、「現地」に行って「現物」を見たとしても、そこには様々な事象が混沌と存在します。どのような見方で、どう捉えたらよいのかが問題です。「本流トヨタ方式」では常に「目的は何か」を問え、と教えています。
そして、やっていること、またはやろうとすることが、その目的に合ったものかどうか、すなわち「合目的的かどうか」を問えと教えています。
電力社員は電柱のボルトを見て見ぬふりなのか?
「目的は何か」の考え方を、電柱に付いている「ボルト」を例に説明しましょう。
日本では、北海道から沖縄まで電力会社は違っていますが、同じような電柱が立ち、写真のようなボルトが付いています(意識している人は少ないかもしれませんが、世界を旅すると電柱のある国は極めて稀です)。
このボルトの「目的」は何かを考えてみましょう。
読者の中で多くの方は、点検作業時に足場として使うとお答えになるでしょう。確かに筆者が子供の頃、このボルトに足をかけ、命綱を着けて作業をしている姿を見かけました。しかし、今はどうでしょうか。