1月8日、レバノンの首都ベイルートで仲の良い記者を集めて行った懇談会で派手なジェスチャーを交えて説明するカルロス・ゴーン氏(写真:Abaca/アフロ)

 カルロス・ゴーン氏が2019年末に日本から逃亡した事件は韓国でも大きな関心を呼んでいる。

「映画のようだ」という一般的な反応とは別に、高い関心を寄せているのが、「経済民主化」の声の高まりとともに経営革新を迫られている大企業だ。

 2020年のスタートともに韓国の経営者、企業幹部やメディア、政府関係者と会うと、4月に迫った総選挙とともに必ず話題になるのが「ゴーン氏の逃亡劇」だ。

外国人経営者への評価は?

 ニュース自体が好奇心を駆り立てるが、それ以上に特に企業関係者の間で関心が高いのが、「外国人経営者」についての評価だ。

 ソニー、オリンパス、日産自動車、武田薬品工業・・・日本では、名前が通った大企業で外国人をCEO(最高経営者)に起用する例が後を絶たない。

 成功例となると、はて(?)と考え込まされるが、過去を断ち切った経営刷新やグローバル化を目指した果敢な試みは今後も続くはずだ。

 すぐに利益が出るとか企業の体質が変わるとかの効果が上がらなくとも、企業の体質改善にはそれなりの効果を上げているはずだ。

 では、韓国ではどうなのか?

 財閥が圧倒的な比重を占める韓国の産業界では、これまでまったくといって良いほど外国人CEOは出ていない。

 2000年代に入って、どの財閥もグローバル経営を掲げ、外国人役員を起用する例は増えている。成果を上げたスカウトもあったが、鳴り物入りで迎え入れても、わずか数年で静かに退社する例も少なくない。