「預金なら安心」って本当なの? 「元本保証」って、実際に何を保障してくれるの? 実は、現金にもリスクが潜んでいるのです。本連載ではそんな「現金のリスク」を切り口に、お金のほんとうの価値を守るための資産運用について考えていきます。今回のテーマは「お金の価値を維持する投資先の選び方」です。

 筆者はこれまで、「お金の価値」を維持するための方法として「投資」がある旨を述べてきました。では、具体的には、どのようにすれば良いのでしょうか? 本稿では、投資先の選び方を考えてみたいと思います。

伝統的な資産への投資。株式と債券なら、株式?

 前稿でも申し上げましたが、伝統的な資産として「株式」と「債券」があります。

 債券は「満期時に額面でお金が戻ってくる」、「発行時に利息が約束されている」という2点の特徴があります。定期的な利息と額面(必ずしも元本と同額とは限らない)の返還が約束されている点では安心といえば安心ですが、そもそもが借金ですから、債券を発行した企業や国などにとっては「借りたお金に利子を付けて返す」だけに過ぎず、そこには成長がありません。

 とはいっても、債券への投資にも実は意義があるのですが。それはまた、別稿にて申し上げます。

株式についてのおさらい

 ということで、消去法的に株式投資を選ぶことになりましたが、以下にて株式投資への意義を考えてみたいと思います。お金の価値を維持するための投資先として、株式は決して消去法ではないことにお気づきいただけると思います。

 ここで株式についてのおさらいです。

 企業は株式を発行することで資金を得ますが、企業にとっては自己資本になりますので、返済の必要がありません。その代わり、資金を投じてくれた人、すなわち株主には(企業の成長の証である)利益の一部を配当金として還元します(配当金だけでなく、「株主優待」という形で、その企業の商品などを株主に贈呈する企業もあります)。
また、企業が成長すれば株価が上がる傾向にありますので、(株価が)上がった分が株主にとっての利益になりますね。

 ただし、企業の経営が思わしくない場合には株価は下がる傾向にあり、最悪の場合には、株価がほぼゼロになってしまうことすらあり得ます。

■株式投資で得られる利益
・企業の成長の証である「配当金」(および株主優待)
・企業が成長した結果としての「株価の上昇」

■株式投資で起こりうる損失
・企業の経営が思わしくない場合の「株価の下落」

どの企業に投資をすればいい?

 2019年11月1日現在、東京証券取引所第一部だけでも、2154もの企業が上場(=株式を売ったり買ったりできる)しています。

 当然、やみくもに投資するわけにもいきません。上場企業とはいっても、将来有望な成長著しい企業から、そうでない企業まで実に様々ですから……。

 繰り返しになりますが(大切なことなので)、株式投資にはリスクが付き物です。いかに上場企業といえども、倒産する可能性がゼロはとは言えません。倒産してしまえば、株式の価値はゼロになってしまいます。投資したお金がゼロになってしまえば、もはや「お金の価値を守る」以前の問題です。それでは、株式投資によってお金の価値を守るためには、どうすれば良いのでしょうか?