(みかめ ゆきよみ:ライター・漫画家)
日本各地には干支にちなんだ神社が数多く存在しています。祭神と縁がある、神様の使いである、神様の姿であると、さまざまな形で信仰されている干支。本稿では、干支にちなんだ神社と、その由来をご紹介します。
丑(うし):亀戸天神(東京)
まずは十二支の2番目の丑から。牛といえば菅原道真を祀る天神さまです。菅原道真は平安時代に活躍した人物。幼き頃より学問の才に恵まれ、長じて右大臣になりました。しかし左大臣の藤原時平にはめられ、大宰府に左遷され不遇の最期を遂げます。
その後、京では異変が相次ぎ、道真失脚の片棒を担いだ者が次々と亡くなります。朝廷は道真の罪を許し、その魂を鎮めるために天神様として祀るようになりました。現在では学問の神様として信仰されています。
各地にある天神社・天満宮には必ず牛の像があります。菅原道真が丑年生まれであること、丑の日に亡くなったこと、遺体を葬送中に牛車が動かなくなり、その場を墓所に定めたことなどから、牛と道真には深い縁があるといわれています。
神牛に触れると知恵が授かる、病気が治るといわれており、天満宮には牛の像が置かれ、「撫で牛」として親しまれています。
撮影/みかめ ゆきよみ
さて、亀戸天神では丑だけでなく戌と卯に縁があります。本殿向かって右にひっそりとたたずむ通称「おいぬさま」。由来はまったくわかっていませんが、いつからか塩を塗り込みながら祈願すると成就すると言われるようになったのだとか。そしておいぬさまの近くにある御嶽(みたけ)神社は卯の神様です。こちらもぜひ詣でてみてください。
卯(うさぎ):岡崎神社(京都)
京都の平安神宮より北東に位置する岡崎神社は、卯にちなんだ神社として有名です。祭神は速素盞鳴尊(すさのをのみこと)とその妻の奇稲田姫命(くしいなだひめのみこと)とその子供たちの三女五男八柱御子神(やはしらのみこがみ)です。速素盞鳴尊と奇稲田姫命が子宝に恵まれたことから、子授け・安産にご利益があります。
この地域一帯が野うさぎの生息地であったこと、うさぎが多産であることから、岡崎神社ではうさぎが氏神様の使いであると伝えられています。「子授けうさぎ」に水をかけ、お腹を擦って祈願すると子宝に恵まれ安産になるといわれ、多くの夫婦が訪れています。