(筆坂 秀世:元参議院議員、政治評論家)
日本共産党は今年(2019年)7月の参院選挙に向けての公約「希望と安心の日本を 参院選にあたっての日本共産党の公約」の大きな柱に、「くらしと景気を壊す無謀な消費税10%への増税中止の審判を」ということを掲げていた。
そこには次のように書かれていた。
<家計消費が減り、実質賃金も下がり、景気の悪化が現実になっている時に、5兆円にも上る消費税増税を家計と消費に押し付けるのは、あまりにも無謀です。『消費税増税に賛成』という人たちからも『こんな時に増税していいのか』という声が上がっています。
それでも安倍政権は、消費税増税に突き進んでいます。このままくらしと景気をこわす大増税を座して見ているわけにはいきません。参議院選挙で『増税ストップ』の審判を下し、増税中止に追い込みましょう。>
このどこにも消費税の廃止とか、税率の引き下げという主張は書かれていなかった。いずれにしても共産党の主張が通ることはなく、予定通りに10月1日から増税が実施された。共産党に投票すれば増税が中止になると思った人は、ほとんどいなかったであろう。やる前から分かっていたことだ。
まさか私の主張を参考にしたとは思わないが
私は7月に上梓した『日本共産党の最新レトリック』(産経新聞出版)の中で、日本共産党の「増税中止」という主張について次のように批判していた。
<『消費税増税ノー』という共産党の主張も、もっともらしいがおかしい。共産党はそもそも消費税の増税そのものに反対してきた。1989年に税率3%の消費税が導入されると、翌90年には共産党主導で『消費税をなくす会』まで結成している。