「J-REIT(Jリート)」という金融商品をご存じだろうか。

 「REIT」とは不動産投資信託のこと。小口や大口の不動産物件を束ね、1つの投資商品に仕立て直したものだ。「J-REIT」は日本版の不動産投資信託を意味する。株式に相当する投資証券が、証券取引所で売買されている。

 2010年秋、日銀が買い入れを開始したことでご記憶の向きも多いはず。2010年は割安感からJ-REIT全般に買いが入り、年間で20%超の上げを記録する銘柄も現れた。J-REITの活況継続を見込む関係者は少なくない。

 だが、J-REITの中で二極化現象が生じ、これが地方経済に打撃を与えるとの見方も浮上している。不動産金融商品と地方経済の関連は一見薄いように見えるのだが、水面下では密接なつながりがあるのだ。

J-REITに二極化の兆し

 冒頭で触れた通り、2010年はJ-REIT全般が活況を呈した。リーマン・ショック以降の世界的な金融危機で価格が暴落して以降、ずっと放置されてきた上に、世界的な金融緩和策の拡充とともに割安感が広がったことが、内外の投資家の買いを呼び込んだ主因だ。

 2010年末から2011年初めにかけて、J-REITの今後の価格動向を分析しようと、証券会社の担当アナリストらが相次いで見通しリポートを発表した。

 世界的な金融緩和政策の継続、あるいは投機マネーの流入継続期待から、大方のアナリストがJ-REIT全般の底堅い値動きを予想した。

 だが、アナリストの見通しを詳細に見ると、二極化の兆しが見て取れる。

 一口にJ-REITと言っても、商品ごとに得意とする物件、投資対象が異なっている。大まかに分けると、首都圏や大都市のビル、テナント等の物件を集めた「オフィス系」、郊外の商業地、商業施設を束ねた「商業系」がある。