香港の繁華街。ブランド品のブティックより化粧品専門のディスカウントストアが人気だ(筆者撮影)

「中国人」は今や“世界のお金持ち”の代名詞になったと言っても過言ではない。

 日本のインバウンド市場では、旅館やホテルが中国の富裕層向けの営業に力を入れている。中国市場に乗り込んで富裕層狙いのマーケティングを行う日本企業も少なくない。

 ところが最近、中国人の高額消費に変化が出始めている。

 中国・上海に駐在する日本人総経理(=社長)がこんな話をしていた。

「上海では2018年の夏から高級百貨店や高級飲食店の売り上げに陰りが見えるようになりました。その一方で、カジュアルな店や商品は売り上げが伸びている。同じような商品なら『より安価なもの』を求める傾向が出始めているようなのです。この流れが広まるのか、それとも一時的な現象なのかは分からないのですが・・・」

香港で高額品の消費がマイナスに

 実は香港でも、この日本人総経理の話を裏付けるような変化が起こっていた。

 中国人の海外渡航先は今や129カ国にのぼるが、その中で香港は中国人観光客が最も多く訪れる都市であり続けている。特に、高級ブランド品や貴金属品に目がない中国人富裕層が数多く訪れてきた。

 2017年に香港を訪れた中国人観光客は4444万人。2018年はそれをさらに上回る5100万人(656万人増、14.7%増)が訪れた。6500万人の外国人観光客に対し、中国大陸からの旅行者は全体の約8割を占める。