ディスカウントストアに行くと、40円前後の値札がついている無名ブランドの缶コーヒーがあります。一般に、缶コーヒーは120円で売られています。価格差がありすぎて、無名のブランドの缶コーヒーはどことなく怪しげですが、有名ブランドと比べて大きな品質差はありません。製造コストもほとんど変わらないはずです。そして、メーカーはちゃんと利益を出しています。
すると「ジョージア」や「UCC」といった有名ブランドは「40円で売れる缶コーヒーに120円もつけて売っているのか!?」「暴利だ! けしからん!」という声が聞こえてきそうですが、そうでもありません。
80円は流通コスト、具体的には自販機の維持管理と商品の補充配送コストなのです。無名ブランドが40円で売ることができるのは、自販機ルートを使わず、ディスカウンターのみを販売ルートにするからです。ディスカウンター専用ブランドを作るなら、有名ブランドメーカーでも40円で缶コーヒーを売ることは可能でしょう。
缶入り清涼飲料の流通ルートは、自販機ルートが各社の販売比率の4~5割、会社によっては9割を占めます。日本自動販売機工業会によると、飲料の自販機は2009年12月の数字で全国に256万台。これだけの自販機を維持管理して、商品を補充するコストが80円だということです(80円には多少の利益も含まれます)。
言い換えると、私たちは自販機で缶コーヒーを買うごとに、80円の「自販機サービス料」を払っているとも言えます。それだけ、目に見えない流通コストは大きいということです。
コメの価格は自由化でどれだけ下がる?
さて、農産物の輸入自由化によって消費者が受ける恩恵として、食料品価格が下がることを挙げる人がいます。
一体どれほど下がるのでしょうか。高い関税に守られているとされるコメを例に挙げましょう。