今年もあと1か月余を残すのみとなった。9月の東方経済フォーラムにおけるウラジーミル・プーチン大統領の「前提条件なしで年末までに平和条約を」との発言以来、平和条約、領土問題を巡る環境変化は一気に加速度合いを増している。
他方、経済分野を振り返ると、両国経済関係が順調に拡大している姿が見て取れる。例えば在ロシア日本大使館の関連サイトを見てみよう。
https://www.ru.emb-japan.go.jp/economy/ja/index.html
ロシアのタバコ市場で3割以上を占める日本企業
8項目の協力プランを軸にロシアの生活環境、産業・経済構造改革のためのプログラムが目白押しである。
そして8項目で真っ先に掲げられているのは「ロシア国民の健康寿命の伸長に役立つ協力」である。
しかし、その一方で我が国の財務大臣が3分の1の株式を保有する事業会社がロシアのタバコ市場の30%以上を占めているのは何とも違和感がある。
同社の収益の3分の1を同分野の協力案件に還元するくらいでないとプーチン大統領は納得しないのではないか。
さて、筆者のような零細ファンドにとっては、他の企業がロシアで何をやっているかは知る由もなく報道記事で知る程度である。
しかし、ほぼ毎月のように東京とモスクワを往復していると明らかに実感できるのは「今年に入ってモスクワ便のチケットが取りにくくなった」、つまり日露間の人の往来が増えていることである。
もちろん、今夏のサッカーW杯の要因は差し引いての話である。また、モスクワ経由で来日する欧米、イスラエルの観光客の増加分も差し引かなくてはならない。